どこへ行く?日本の農業、TPP交渉再来週からスタート

今回の参議院選挙では、TPP=環太平洋パートナーシップ協定への参加問題も争点の1つです。ところが、自由化で厳しい競争にさらされる農業の現場では、これまでの選挙とは違った動きも出始めています。

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北海道のど真ん中、十勝平野の新得町。900頭の牛を飼う酪農家の湯浅さんは景気回復の波は、ここ十勝には及んでいないと言います。

「アベノミクスでずいぶん騒がれているけど、我々のところは好景気どころか、アベノミクスの円安の影響で相当圧迫されている状況」(友夢牧場・湯浅佳春さん)

最近の円安でエサ代は1割値上がりして、年間で3000万円も増える見通しに・・・。さらに、TPPが暗い影を落とします。

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「(TPPで) 要するに全ての関税がなくなる。もう乳製品はなだれみたいに (海外から)入ってくるよね」(友夢牧場・湯浅佳春さん)

政府の試算では、TPPへの参加で乳製品全体の生産額は2900億円減少。バターやチーズなどは国内外の価格差が3倍もある上、品質面の格差もほとんどないため、国産のほぼ全てが外国産に取って変わられると見ています。

「我々は牛乳でもうけるしかない。かなり厳しい状況」(友夢牧場・湯浅佳春さん)

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酪農だけでなく、麦や砂糖大根などの産地でもある十勝ではTPPへの危機感が強く、地元の新聞社が4月に行った調査では、TPP参加を決めた安倍政権の支持率は24%。全国平均の6割前後と比べて極端に低い数字です。

「衆議院選挙のときは『聖域なきあれ(関税撤廃)はどうたらこうたら』言うとったけど、裏切られたって本当そのとおりだよね」(友夢牧場・湯浅佳春さん)

こうした声を受けて、JA北海道は、今回の参院選で自民党候補の推薦を初めて見送り、「自主投票」とする方針を決めました。

「去年の衆議院選挙で北海道で 立候補された先生方は、皆さんTPP反対だった。それが3か月したら安倍総理から あのような発言(TPP参加表明)があった」(北海道農協政治連盟・飛田稔章会長〔6月18日・札幌市〕)

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こうした危機感の一方で、TPP参加を前向きに捉える取り組みも動き始めています。

「ちょっと眠いですね」(日本農業経営大学校・鎌田頼一さん)
  鎌田頼一さんは次世代の農業リーダーを育てるために、4月に開校した学校の学生です。この日は、群馬県への泊り込み研修に参加です。

「突出した人をいかに作っていくかが、グローバル化の中では大事なんだろうなと」(野菜くらぶ・澤浦彰治社長)

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鎌田くんを指導するのは「野菜くらぶ」の澤浦社長です。こんにゃくいもの生産から加工、販売まで手がけ、「こんにゃくパスタ」として、ヨーロッパに輸出しています。

「グローバル化などいろいろな波があると思うが、僕たちにアドバイスは?」(日本農業経営大学校・鎌田頼一さん)
  「一つは描いたようにやったらいい。お客がいればTPPになろうが、何しようが関係ない。自分たちの農産物を食べてくれるファンを増やしていくことしかない」(野菜くらぶ・澤浦彰治社長)

鎌田くんはTPP時代でも生き残っていける「攻めの農業」のあり方を見据えています。
  「潰れる農家と生き残る農家が はっきりしてくると思うし、(生き残る農家は)どんな荒波が来ても日本の農業を支えていくと思うし、僕もそうありたいと思う」(日本農業経営大学校・鎌田頼一さん)

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 政府は、再来週から初めて参加交渉に臨みますが、TPP時代を控えて、日本の農業をどう立て直していくのか。政治は、その未来図を指し示す必要に迫られています。

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