参院選後、日中関係・日本の外交はどこへ向かうのか

政府は今年の「防衛白書」を9日の閣議で了承しました。尖閣諸島をめぐる中国の領海侵入などの活動について「不測の事態を招きかねない危険な行動もあり、極めて遺憾」と厳しく批判しています。参議院選挙の後、日中関係、そして日本の外交はどこへ向かうのでしょうか。

東京・神田で100年以上続く中華料理店。この店に、ある有名人が好んで食べていたという名物料理があります。

「大きな肉だんごのすましスープ蒸しですね。このあと器に入れて2時間蒸すんです」(「漢陽楼」和田康一さん)

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実際に、この店で料理を食べていた人物とは・・・日中国交正常化の中国側の立役者、周恩来元首相です。ちょうど100年ほど前、周青年は、日本に留学しようと、東京に滞在していました。

「故郷を懐かしんで、少しずつ味わって、時間をかけてゆっくりゆっくり食べていたと聞いています」(「漢陽楼」和田康一さん)

その後の首相となる周青年は、日本の近代化を肌身で感じていたということで、当時の日記には、中国人を諫める冷静な記述もあります。

「中国人は、口を開けば『日本は襤褸(ぼろ)の邦』というが、どうして襤褸であろう。中国人は一知半解(理解が中途半端)である」(周恩来「19歳の東京日記」【小学館文庫】より)

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そうした周恩来氏と、国交正常化交渉にあたったのが当時の、大平正芳外務大臣です。大平氏の命日の、先月12日、「宏池会」と呼ばれる自民党岸田派の議員らが大平氏の墓参りに訪れました。

「国際社会で日本のリーダーの果たすべき役割、これを明確に、そして勇気を持ってなさったのが大平さんだと思いますね」(元自民党幹事長・古賀誠氏)

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「宏池会」は伝統的にアジア外交重視の政治信条を持つ、いわゆる「ハト派」の議員が集まる派閥で、大平氏も会長を務めていました。しかしいま、日中関係は悪化し、中国は去年9月に野田政権が尖閣諸島を国有化したあたりから、領海侵犯などを繰り返しています。

政府内からは、中国側への苛立ちの声が聞こえてきます。

「尖閣の問題があるから話をしない。棚上げしないと話をしない というのは違うのではないか」(外務省幹部)

こうした中、「宏池会」の議員は政府与党内で自らのような「ハト派」の存在感が薄いのではないかと危機感を募らせています。

「今の政権の今の考え方からすると、確かにいわゆる主流の考え方ではないだろうという思いはあります」(宏池会(岸田派)・武井俊輔衆院議員)

現在の「宏池会」の岸田会長は、安倍内閣の外務大臣です。先週、ASEAN外相会議に出席した大臣に現状をどう見ているのか聞きました。

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「最近、日中間、日韓間、こうした関係において、高い政治レベルでの対話がなかなか難しくなっている。この辺は大変残念に思っています」(宏池会会長・岸田文雄外相〔6月30日〕)

この会議の中で、岸田大臣は9か月ぶりに、韓国との外相会談を行いましたが、中国との会談は実現しませんでした。中国との関係改善には何が必要なのでしょうか。

「宏池会の先輩方、アジア外交において努力をした歴史を振り返りますときに、やはり、基本は人と人との関係、信頼関係ではないかと思います。日中、日韓、このそれぞれの両国関係を進展させるべく、努力していかなければいけない」(宏池会会長・岸田文雄外相〔6月30日〕)

一方、アメリカでは、いまの日本の外交姿勢はどう受け止められているのでしょうか。先月下旬、官邸で安倍総理とも面会したプリンストン大学のフリードバーグ教授は、日本と中国の緊張関係が高まっていることについては、中国の対応を批判しました。

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「尖閣問題をはじめとする問題をめぐって、日中関係の緊張状態をより高めてきたことは中国側により責任があると思う」(プリンストン大学・フリードバーグ教授)

ただ、中国、韓国との間に横たわる歴史認識の問題については、こう指摘しました。

「他の民主主義国家、特に韓国との関係を緩和させるためにも、日本が歩み寄る姿勢を見せることが日本にとって長期的な利益になると思います」(プリンストン大学・フリードバーグ教授)

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参議院選挙後、日本は中国や韓国との新たな関係を築けるのでしょうか。

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