日本には島国という地理的条件から、独自の進化をしてきた日本固有の動植物がたくさんいます。しかし近年、産業構造の変革や外来種の移入など、目まぐるしい環境の変化によって日本固有の種が危機に追いやられています。失われつつある日本の希少動植物の保存を目的として全国から様々な情報を収集し、発信していきます。
contents

第4回
ヤンバルクイナを守れ!
保護の状況
ヤンバルクイナの生態
ヤンバルクイナの発見
追いつめられるクイナの仲間
参考文献

バックナンバー

メダカの学校は川の中?
タンポポ戦争の真実
日本にオオカミはいるか?
東京湾のトビハゼ
耳の短い不思議なウサギ
西表島のヤマネコ物語

●追いつめられるクイナの仲間たち
 ヤンバルクイナが属するツル目クイナ科の鳥には、絶滅してしまった種や絶滅に瀕している種がたいへん多いことが知られています。それにはいくつかの要因があります。

 第一に、クイナの仲間には、島に棲んでいる固有種が多いことが挙げられます。クイナの仲間には、渡りをするものも多く見られます。おそらく、かつては渡りの途中で島に立ち寄っていたものが、天敵が少なくて棲み心地の良い島にそのまま棲みついて、長い年月が経つうちに独自の進化を遂げ、固有種になっていったと思われます。
 島というのは面積が小さいですから、それほどたくさんの鳥は棲めません。鳥類に限らず、島に棲んでいる生物というのは個体数が少ないものです。数が少なければ絶滅しやすいのは道理で、ちょっと大きな自然災害があったり人間によって生息環境が破壊されたりすれば、たちまち絶滅してしまいます。

 第二に、クイナの仲間は飛べなくなる傾向が強いことが挙げられます。空を飛べるというのは大きな武器です。何よりも空を飛べることで、鳥は敵から逃れています。
 しかし、空を飛ぶのは非常にエネルギーを必要とすることなので、どんな鳥でも飛ばずに済むのなら飛ばない方向に進化する傾向があるようです。クイナの仲間のように地上性の鳥の場合は特にその傾向が強いようで、敵がほとんどいない島に棲んでいるクイナの仲間は、飛翔力が弱い種ばかりです。
 ところが、飛べなくなってから突然敵が多い環境にさらされると、鳥たちは逃れる術を知りません。多くの場合、それまで肉食獣がいなかった場所に人間がイヌやネコを持ちこんだために、飛べないクイナたちは食べ尽くされ、絶滅しました。

 現在までに、絶滅したクイナの種は二十種以上にも上ります。そのうち、島に棲む飛べないクイナの仲間で、絶滅した種をいくつか紹介しましょう。ここに挙げたのは、地球上から永遠に消えてしまったクイナたちのごく一部です。

モーリシャスクイナ
 学名:Aphanapteryx bonasiaまたはAphanapteryx broecki
 分布:インド洋のマスカリン諸島中のモーリシャス島
 絶滅年:1700年


ロドリゲスクイナ
 学名:Aphanapteryx leguati
 分布:インド洋のマスカリン諸島中のロドリゲス島
 絶滅年:1761年


レイサンクイナ
 学名:Porzana palmeriまたはPorzanula palmeri
 分布:太平洋のハワイ諸島中のレイサン島
 絶滅年:1944年


ハワイクイナ
 学名:Porzana sandwichensisまたはPennula sandwichensis
 分布:太平洋のハワイ諸島
 絶滅年:1893年


いずれも絶滅原因として、ドブネズミやネコなどに 食べられ絶滅したと考えられています。  極めて心配なことに、ヤンバルクイナも「島に棲む固有種で、飛翔力が弱い」という絶滅しやすい条件が当てはまる種です。ヤンバルクイナが上記の「絶滅種」の仲間入りをしないようにしたいものです。

 ヤンバルクイナと同じように、島に棲む固有種で飛翔力が弱く、数が減って懸命に保護対策が取られているクイナの仲間たちも紹介しておきましょう。このようなクイナの種も、二十種ほどいると言われています。ヤンバルクイナも含め、これらの罪なき鳥たちを絶滅させずに済むかどうか、今こそ私たちの知恵が問われています。

ニュージーランドクイナ
 学名:Gallirallus australis hectori
 分布:ニュージーランドの南島
 保護の状況:ワシントン条約の付属書IIに記載されている。


ハルマヘラクイナ
 学名:Habroptila wallaciiまたはRallus wallacii
 分布:インドネシアのモルッカ諸島中のハルマヘラ島


 保護の状況:国際版レッドデータブックで不確定種とされている。

ロードハウクイナ
 学名:Rallus sylvestrisまたはGallirallus sylvestris、
    あるいはTricholimnas sylvestris
 分布:オーストラリアのニューサウスウェールズ州のロードハウ島


 保護の状況:ワシントン条約の付属書Iに記載されている。
 国際版レッドデータブックで絶滅危惧種とされている。
絶滅の危機にある動植物たち生物図鑑
Copyright(C) 1995-2010, Tokyo Broadcasting System Television, Inc. All Rights Reserved.
TBSトップページサイトマップ