出水:山本寛斎さんは1971年代、世界的ロックスター、デビッド・ボウイのステージ衣装を手掛けていらっしゃるんですね。
寛斎:はい。
出水:残念ながらデビッド・ボウイさんは、今年1月10日に突然の訃報が伝えられまして、二日前の8日に69歳の誕生日を迎えたばかりということで、非常に急で驚かれたと思うんですが・・・
寛斎:世界中からですね、メールやらその他で、お悔やみの連絡をもらったんですけど。私の方はね、彼との関係値で、積み残したことがあるんですな、はっきり言うと。彼は、ご自身の命の中で、ほぼ表現は全て完了されたんじゃないかと思っているんです。ところがですね、彼自身が知らない寛斎がハッキリといて、それは何かというと、デザイナーに留まっていない、いまやそれを超えるぐらいのネルギーをかけている、イベントのプロデューサー、演出家の部分で、彼とは一度も仕事をしたことが無かったわけです。で、生きている数年前で、ニューヨークのセントラルパークで、彼のコンサートを私がプロデュースさせてもらおうかと、当時イロイロな企業からお願いすると、約5億円くらい集まるんですね。その金額でニューヨークで、彼の方があまりギャランティーを請求されなければ、世界初の、衣装が変わってて、演出が変わってて、ということがやりたいなあ、と凄い願望として持っていたんですね。
ですから彼が亡くなったときに辛かったなあ、というよりも。
JK:悔しい?
寛斎:積み残した、宿題が残っているという感じで。だから今、気持ちの中は、ご本人はいらしゃいませんが、ですけども残した曲やら、彼についての記憶がありますから、いつの日か、私の想いを企てて実行してやろうと思っていますんで、いわゆる人が思っている、悲しそうですね、残念ですね、というのはないです。
JK:やり残しているというか・・・
寛斎:そうです。
JK:だけどデビッド・ボウイって、本当に美しいというか、それこそ玉三郎さんに憧れたというか、日本の歌舞伎の女形の美しい面は持っていたから、寛斎さんと出逢って眼が開いたというか、寛斎さんもボウイに逢えて、人生最高に得したというか、ラッキーだったと思うんですよ。

寛斎:話が飛びますが、私、彼と出会ってですね、展覧会来年日本来ますが、はっきり言って、私のがイチバン似合ってます。
JK:そう思います。
寛斎:そうでしょ。
JK:わたし、映画見たから。
私ね、デビッド・ボウイさんとパリで一緒に食事したことがあるんですよ。友達の友達で、それで6人で食事したんだけど、順番に座ったら、いまいるみたく目の前になっちゃったんですよ。見ていると、パントマイムやっていたから、食事のときも両手、左右対称に動く。その動きの手の美しさ、見とれてた。何を食べていたか忘れちゃったけど、手の動きが美しくて。
寛斎:全ての所作が完成されているというか・・・
JK:だって自分の生き方をね、パントマイムによって動きが決まったと思うのね。

出水:寛斎さんはワールドツアーのためにデビッド・ボウイさんに幾つか衣装を作っていらっしゃいますけれども、どういうイメージで、どういったことを意識されてデザインされたものなんですか?
寛斎:一番最初に彼に出会ったのはニューヨークなんです。ロンドンからニューヨークへ行って、いよいよアメリカのビジネスをスタートするよということで、ニューヨークのラジオシティミュージックホールで、その時に、友人の高橋靖子さんっていう、ロンドンのショーのときのプロデューサーが、彼用に私の服を集めて、彼に貸し出そうとしたという話があったんですね。私は彼が何者か知らなくて、どういうショーをするかも知らなくて、、何を申し上げたいかというとですね、その高橋靖子さんがニューヨークから、或る日電話がかかってきまして、日本時間で言うと夜中ですよ。とにかくすごいことがニューヨークで起きようとしているから、なんとしても来いよと。
JK:ニューヨークに来いと!?
寛斎:そうです。それが立て続けに30分おきにかかってきまして。最初の内は、また寝ようとしていましたが、これは余程大変なことなんだろうということで、飛びましたよ。スケジュール全部キャンセルして。
JK:ラジオシティって、6000人入りますよね。トニー賞あそこでやるんですよね。
寛斎:知らんかった。なぜ知らんかというと、私いきなり被り付きへ連れて行かれたんで、後ろにどれくらい人がいるか、スタートしたらわからないじゃないですか。
寛斎:それで、昨今の話があって、ガガさんから連絡があって、とにかく寛斎しか持っていないボウイのいくつかの関連のある服を渡しに着させてほしい、と。。。
JK/出水:へー・・・
寛斎:ここから先は彼女も秘密にしていらっしゃると思うんで。
出水:楽しみですね。
寛斎:それで現れると思いますよ。
寛斎:改めて、ボウイって、何が、この時代の幕開けをした人かというとですね。音楽という表現手段と、ファッションという種段と、この二つを使ったんですね。それと、性別というまぁ、カテゴリーに挑戦した人だと思いますね。
=オンエア楽曲=
M1. 夜の踊り (ショパン) / Sarah Brightman
M2. Changes / David Bowie