コシノジュンコ MASACA

ファッションデザイナー:コシノジュンコが、それぞれのジャンルのトップランナーをゲストに迎え、人と人の繋がりや、出会いと共感を発見する30分。MASACA!な驚きを創造する人々…MASACA!な未来を想像する人々…そんな人々との出会い「MASACA!」がCREATIONを生み出す!

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コシノジュンコ MASACA
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出演者

コシノジュンコ
大阪府岸和田生まれ。78年パリコレデビュー。世界各地にてショウを開催。オペラやブロードウェイミュージカルの舞台衣装、スポーツユニフォーム、インテリアデザイン等幅広く活動。MASACAは初のラジオレギュラー番組。

出演者

出水 麻衣
TBSアナウンサー。
1984年2月11日生まれ。東京都出身。
上智大学外国語学部英語学科卒。
趣味:特スポーツ観戦・グルメツアー・観劇・ゴルフ・ランニングなど

ゲスト:能楽師 二十六世観世宗家 観世清和さん パート1
MASACA!コシノジュンコが能面を・・・

出水:御宗家は1959年、25世宗家 観世左近の長男として生まれ、4歳で初舞台。東京芸術大学音楽学部を卒業。1990年に家元を継承され、室町時代の観阿弥、世阿弥の流れを汲む観世流の26世宗家として、能楽界を牽引されていらっしゃいます。


JK:この度、「紫綬褒章」受章されて、おめでとうございます。
御家元:大変身の引き締まる思いでございます。それと、今まで私をご支援頂いた皆様方のおかげと思っております。また私の舞台上の芸事のことのみならず、私どもの家に伝わっております、伝来の表装束、能面類、古文書、それらを観世アーカイブということで、インターネット上で公開させて頂いております。それも大変、評価の対象になったということなんです。
JK:それだけ本物をお持ちですから、600年?
御家元:680年くらいです。実際、いまご紹介いただきました、世阿弥の直筆伝書類も、多く所持しております。
出水:なんと今日は大変貴重なものをスタジオにお持ちいただいました。


御家元:これは、能面でございます。私どもは「おもて」と申しますが、これは古いものの写しでございます。新面と申しますが、若女ともうしまして・・・
JK:眼がさわやかですよね。いつも口がフッと、、、アルカイックスマイルというんですよね
御家元:これは檜で作られています。表面の彩色は日本画の画法で描かれている。
JK:女性の美人の原点です。たまご型。これはほんものとそっくり、というか同じですか?
本物もお持ちなんですよね。
御家元:先生ちょっとお顔に是非つけていただきたいと思います。
JK:よろしいんですか?え、コワイ・・・
御家元:作法がございまして。表面はお触りにならないで、穴だけをお持ちいただきたいんですね。お顔にお付けになるときに、拝礼をして、「いただく」と申します。どうぞ。そしてそのままどうぞどうぞ。
出水:いま、お顔にはまりました。如何でしょうか。


JK:なんか、穴が二つあって、それがひとつに見えて。焦点がひとつです。両脇が一切見えません。ですから、心を集中するために、この中で、長年演じて来たことを、ひとつに、想像の世界で、集中力で物語るのではないかと思いました。息もできるし、お話もできるので、全然苦痛じゃないです。私ね、苦痛じゃないかと思っていたんです。唄われますよね。この中って、きっと汗だらけで、どうなっているんだろうと思っていたんです。
御家元:唄いの稽古をするときに、表を付けて稽古をするかというと、しない。一切してはいけないんです。「おもて」を付けたときの感覚というものを勉強する。
JK:想像して、それをわかってて、お稽古するんですね。
御家元:はい。それと、「いただく」と言うのですが、やっぱり祖霊礼拝ですね。ある人は、能面と対座して自分の魂を入魂するんだ、という方もいらっしゃるのですが、私はそうは考えておりませんで、やはり、今日の舞台、無事に務めさせていただいます、という祖霊礼拝。
JK:いろいろあるけど、全てに「いただきます」なんですね。なんか素敵な言葉。


=観世流ホームページ=
http://www.kanze.net/

=オンエア楽曲=
M1. the most beautiful girl in the world / PRINCE
M2. Amaging Grace Slide / 濱口祐自

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ゲスト:能楽師 二十六世観世宗家 観世清和さん パート2
MASACA!初舞台のご褒美は・・・


出水:御家元のプロフィールを拝見しますと、なんと4歳で初舞台。当時のことというのは、どれくらい覚えているのでしょうか。
観世:いや、あの、ご褒美につられてですよね。
出水:ご褒美・・?
観世:それはそうです。4歳の舞台の、多少の記憶というのはございますけど、やはりお稽古をして舞台にあがるというのは、ご褒美です。ご褒美をあげるからお稽古しましょう。それから、舞台が終わったらご褒美をあげましょうと。
JK:どんなご褒美ですか。
観世:当時、私が4歳の頃、50何年前はミニカーですね。1台1台、子方と言いまして子役でございますね。その子方を務めさせていただくたびに1台1台増えていきまして
JK:お稽古って、たいへん、苦痛ですか?
観世:もちろん、楽ということはございません。
JK:座ることから
観世:そうです。まったく理屈の世界ではないんですけども、じゃあ今日は10分座ってみようって言って、身じろぎ一つせずに10分まず座らせるんですよね、だんだん5分ずつ増やしていって・・・
JK:直接お父様から?
観世:はい。
JK:身内って、緊張感がないから難しいですよね。
観世:あのね。やはり我が家の家訓では、まず稽古場に入りまして、御扇子を前に行きまして、そして「よろしくお願いいたします」。それから「ありがとうございました」。こういう最低限のマナーが出来ない子には、一切稽古は付けてはならないという。
出水:そうですか!
JK:御扇子は仕切りですよね。
観世:そうです。
JK:師匠と弟子の仕切りをきちっとつけるという。
観世:作法です。
JK:基本的に小さい頃からお行儀がよくないと。お能の世界は。
観世:兎に角「うごくなー!」と言われるわけです。動くなと言われたら動かないということです。これは親たる、師匠たる、言いつけを守る。という。でも先生、同じ格好で長時間動かないということは、かなり内側のエネルギーを抑制していきませんとね。
JK:だから、そういう受けるという覚悟も少々無いと。
観世:おっしゃる通り。

JK:外国にお持ちになるでしょ。日本でもちょっとわからない面も沢山あるんですけど、そういうときはどうするんですか?
観世:一度ね、舞台のいわゆる、天井部分にデジタルで母国語で、いま何やっています、というのをやったことがございます。でもそれは賛否両論です。
JK:眼が集中しませんね。
観世:おっしゃる通り。
JK:わかってもわからなくても抽象的に、漠然と、それが能なんだということから入って、その方がいいかもしれないし。ストーリーを追っかけて見ながらではなくて、確かに気が散りますよね。
出水:海外での公演は、フランス、インド、タイ、中国、アメリカ、ドイツ、リトアニア、沢山の国があがっていますけど、印象に残っている国は。
観世:リトアニアの文化大臣の方が、大変歓迎したと。故郷の教会のミサをやっているように感じたと。それは具体的にどういうことですか?と。様式美の美しさ、ということを盛んにおっしゃっていただいた。まことに一矢乱れず、コーラス、歌っている姿。それから先ほど先生がおっしゃったシンプルな動きといいますか、それに非常に感銘を受けて、故郷の宗教儀礼を見ているようだったっておっしゃってくださったんですね。

JK:シンプルというか、省略美ですよね。すべてをそぎ落として、残った綺麗なものを見せていくという。日本の原点もいいところで、だんだんなくなってきているんですよね。でも(御家元は)普段の生活も、省略美なんですか?
観世:いえいえ、普段の生活も、家に帰れば家族がいますし、愛犬もいます。ミニチュアダックスですが。ごくごく普通の。
出水:御家元ご自身がお散歩に行かれたり?
観世:ええ、参ります。家内に言わせますとキッドと申しますが、キッドちゃんにはあんなに優しい言葉をかけていて、って、大ヒンシュクを買っています。
JK:ご家族の支えというのは、大切ですよね。
観世:もちろんです。もちろんです。家内をはじめ、家族が私の大応援団でございますので、家庭は本陣。合戦の本陣だと私は思っております。楽屋っていうのは戦場ですから。本陣を守ってくれている家族というのは、大事ですね。
JK:大きな貢献ですよね。家族があって、気持ちの余裕があって、集中できるという。
観世:ですからお人によっては、楽屋に入った瞬間に人が変わる方もいらしゃいますが、私は遅いんです。面を頂いた瞬間にスイッチが入ります。

=オンエア楽曲=
M1. Love You To / The Beatles
M2. Don't Take Your Time / Roger Nichols & The Small Circle Of Friends

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