ことば
Q. ウソをつかれたとき、なぜ、「ウソをつくな!」ではなく、「ウソつけ!」と言うのですか? (小5、男の子)
A. おねえさん:確かに、「ウソつけ!」と言いますよね。
パックン先生:ぼくは日本語を勉強して15年経つのですが、これは本当に不思議に思いましたね。ぼくもまったく同じことを思っていて、「ウソをつくな!」「ウソをついたんだろ!」と、なんで言わないんだろうと思いましたね。
おねえさん:英語ではなんと言うんですか?
パックン先生:「You lie」、「ウソをついただろう」と言いますね。でも、これだけではなくて、例えば家から帰ってきたとき、「ただいま」と言われたら、君はなんと言いますか?
男の子:お帰りなさいって…。
パックン先生:そうだよね。でも、帰ってきているのに、なんで、「お帰りなさい」なんだろう? 何で、命令形なのと思ったりするんですよ。それと同じかな。
多田先生:例えば、ケンカしているとき、「ぶつなよ!」と言うこともあるかもしれないけど、「ぶつんならぶてよ!」と切り返すことがあると思うけど、それも同じような気がするね。
パックン先生:できるものなら、やってみろと言うことですね。
おねえさん:この、「ウソつけ」の「つけ」は、ウソをつけられるものなら、ついてみろみたいなことなんですかね?
遠藤先生:もし、ウソをついてみろと言っているんだったら、皮肉みたいに、ウソつけるものなら、ついてみろよってことなのかな。
おねえさん:なんとなく、これはその人のことを非難しているような感じですよね。
「あなたのそれ、ウソでしょ!」という風に感じますけどね。だから、もっとウソをついてという感じではなさそうですよね。
パックン先生:日本語は不思議な言葉があって、「食わず嫌い」という言葉がありますが、これは食べたことがなくても嫌いという意味ですよね。でも、「負けず嫌い」というのは、負けるのが嫌いという意味ですよね。これもおかしくて、負けたことがなくて負けることが嫌いなわけではないんですよね。日本語って少し不思議ですね。

お笑いタレントのパトリック・ハーラン先生/東京農大講師の多田多恵子先生/東京大学総合研究博物館教授の遠藤秀紀 先生

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