いきもの
Q. 台風は上陸した後なぜ勢力が弱くなるのですか? (中3・おとこ)
A.

台風はどこで出来るかと言うと日本の南海上で出来ます。海の上じゃないとほとんど出来ません。じゃあ、どうして海の上で出来るかと言うと、水がいっぱいあって、その海水温が上がって27度以上になると、水蒸気としてどんどん蒸発するんですよ。

ところで、お湯を沸かす時って絶対100度以上にならないでしょ。どうして100度以上にならないかと言うと、水が蒸発するときに火のエネルギーをどんどん吸い取ってしまうんですね。だから蒸発した水というのはものすごいエネルギーをもっています。その水蒸気が水に戻るとき、つまり雲になる時にエネルギーを出すんですよ。それが台風のエネルギーなんです。だから海の上だと発達します。

で、海の上ってデコボコがあまり無いでしょ。だから摩擦が少ないのでどんどん大きくなれるんです。それが陸上に上陸してくると、水が少ないので水が蒸発する量が少なくなって、エネルギーが補給出来なくなるんです。そして、山などがあって摩擦が出てくるから、更に弱くなるんですよ。

だから上陸すると弱くなることが多いんですけど、ただ、必ず弱くなる、というわけではないんですよ。今回の台風(18号)は北へ抜けてから温帯低気圧になりました。温帯低気圧になりましたと言うとみんな安心するんだけど、温帯低気圧って言うのはそのエネルギーの構造が変わってくるんですよ。だから温帯低気圧になった場合は弱まらないで、むしろ、風の範囲や雨の範囲が広くなったりしますので、温帯低気圧になった時はさらに注意が必要です。

で、台風のエネルギーですけど、今、計算したら、一般的な台風のエネルギーと言うのは10の17乗ジュール(エネルギーの単位)。ジュールというのはワット(電力の単位)だと思って下さい。で、10の17乗ジュールというと、1のあとに0が17個ついた数字です。2000ccの自動車に換算すると1兆台分の力になるんですよ。すごい力だよね。


気象予報士・大野 治夫 先生

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