しょくぶつ
Q. 季節が秋冬と寒くなると、人はセーターを着たり、動物も毛をつけたりするけど、植物もそういう冬支度をするんですか? (小6 女の子)
A. 多田先生:わたしたちの周りの植物には、冬になると葉っぱを落としちゃうものもたくさんありますよね。植物の葉っぱって平たくてうすくて、そういうものをずっと冬の間もつけ続けていると、そこから水がどんどん蒸発していっちゃって、中が寒いのに水だけ出て行っちゃって、そうすると、凍っちゃうだけじゃなくて植物の体の中がひからびてしまうってことが起きるのね。それは、冬になると、根っこからあんまり水が吸い上げられなくなってしまうからです。それなのに葉っぱからは水がどんどん逃げて行っちゃう。だから植物はそこで、気孔を閉じると言うよりむしろ葉っぱを落とす時に付け根のところで、もうこれ以上蒸発しないように、ワックスみたいなものでギュギュギュギュって固めて、そこで水の流れを止めて、葉っぱをわざと落としてしまうのね。そうすると、もうそれ以上水が出て行かないし、寒さで葉っぱが凍っちゃうなんてもったいないことをしなくていいから、最初に葉っぱでつくった養分の中で、できるだけ木の体の方に残してから葉っぱを落とすっていうことをしているのね。それ以外にもいろんなことがあって、冬になると、う〜んと寒い地方だと凍っちゃったりするよね。そうすると、葉っぱの中だけじゃなくて、茎の中も凍ちゃったりすると、植物が死んでしまうの。そのために凍らないように、例えば、「不凍液(ふとうえき)」という言葉聞いたことあるかな? 女の子:あ、はい。
多田先生:車の中なんかにも不凍液というものを冬になると入れたりしますけどね。ちょっと「糖分(とうぶん)」を上げておくと凍らなかったりするとか、体の中の濃度をちょっと上げるとか、逆に中が凍っちゃったら、どんな細胞も死んでしまうので、細胞の外側だけを凍らせて内側を脱水して、水をひからびたような状態にして冬を乗り切るものもある。気孔の働きっていうのは冬になると鈍くなってきたりするんだけど、それ以外のところで、色々な葉っぱを落とすとか、他にも地面にへばりつくとか、暖かいふわふわの毛で芽を守るとか、色々な仕組みがあるけど、植物の生えている場所とか種類によって色んなことをして、寒さから身を守っているんです。気孔のことについては、最初に言ったのは「常緑樹(じょうりょくじゅ)」の葉っぱなんかは冬もずっとつけ続けていて、葉っぱの表面につやつやしたものを持っていることによって、寒さから水があんまり蒸発しないようにして、冬を過ごしているんだけど、それが冬と春で気孔がどう違うかというのは私は分からないから、調べてみると良いんじゃないかな。
おねえさん:なるほどね、でも葉っぱがいっぱいついていたら、例えば、雪が降ったら重たくなったりとかありそうですね。
多田先生:そうね、冬は色々ありますよ。スキー場に行くと「石楠花(しゃくなげ)」という木がよく植えているんだけど、夏に見ると、葉っぱが水平のところまで上がって葉を広げているの。でも、冬にスキー場に行ってリフトから見ると、みんな葉っぱを下にすぼめて、だら〜っと垂らしているんですよ。
おねえさん:そうやって、グッと我慢して春になると芽を出す力に変えるということになるんですね。
多田先生:だから冬の間は、出来るだけ寒さで凍らないように水を失わないように色々な仕組みで、ほとんど自分の生活のぎりぎりまで、ほんと冬眠みたいなことをしたりとかね。逆に冬に育つものもあるけどね。「彼岸花(ひがんばな)」なんかは、いま花が咲いているけど、冬になると葉っぱを出してきて、他の葉っぱが落ちている間だけ、光りを一生懸命浴びて生活している、そんなのもあるんですよ。

東京学芸大学講師:多田多恵子 先生

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