「千両(せんりょう)」というのは、生け花なんかに使う、緑色の葉っぱで赤い実のなる植物ですよね。これによく似たものに「万両(まんりょう)」というのもあります。これらはもともと九州あたりに生えていたとても小さい木なの。木のたねはだいたい芽が出るのにかなり日数がかかるんです。たとえばその千両(せんりょう)はいつ頃まきましたか?
こども:7月頃です。
それなら芽が出たのは次の年の春ぐらいだったでしょう。木の実は一度、冬の寒さを感じないと芽が出ない性質があります。だから7月頃たねをまくと、秋を越して冬になって寒くなった時にやっと芽が出る準備が出来て、それから春になって芽が出てくるんですね。日本にある木の仲間は、だいたい秋から冬に実が熟すのが多いです。
なぜかというと、たとえば7月にたねをまいて、秋に芽が出ちゃったとしたらどうなるかなぁ?芽が出たらすぐに冬になって寒さに耐えられず、かれてしまいますね。だから、たねで冬を越すんです。逆に春に芽が出れば、冬になるまでだいぶ時間があるでしょう。そうすれば芽は冬がくる前に寒さにたえられるぐらい強くなっています。自然って本当によくできていますよね。
だからキミのたねの場合も、冬を越したから芽が出てきたということになるんですね。ほかの植物、たとえばふつうの花壇にまく花なんかは、早ければ3日ぐらいで出てきます。だいたい草花は、一週間ぐらいで芽が出てきますね。でも木の仲間は、芽が出るのにかなり時間がかかるの。うっかりしてると1年ぐらいかかるのもありますよ。
園芸研究家・柳 宗民 先生
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