しょくぶつ
Q. 家にある月下美人の花が咲いたんですが、普通の花は実を付けるために花を咲かせるのに、月下美人は実を付けません。何のために花を咲かせるのですか? (小6・おんな)
A.

これはスゴイことに気がついたねぇ。月下美人の花は僕の家にもあります。夜になると花を咲かせるんだけど、2時間ぐらいしか咲かなくて、8時頃に咲いて夜中には、もうしぼんじゃうんだよね。

で、花ってどうして咲くのかは知ってるよね。お花が咲いてるとキレイだから虫が飛んできて、花粉を付けて、実を成らせて、種を作って、子孫を残すために花を咲かせてる様なものなの。

ところが月下美人っていうのは、実が成ったところを僕も見たことがないんです。月下美人って、もともとどこの植物か知ってますか?

こども:知らないです

これは南米の植物でね、ジャングルとかで木にくっ付いて成ってる、サボテンの一種なんです。それで、夜に花が咲く植物は月下美人以外にも色々あるんだよ。日本にも昔からあって野生化しているもので、「オシロイバナ」というのがあるけど、これもそうなの。英語名で「フォー・オクロック」って言って「4時」という意味なんだけど、本当に午後の4時になると花が咲き始めて、夜咲いてるわけよ。そして明け方には、しぼんじゃって終わってるの。

花を咲かせる植物っていうのは、昆虫によって花粉が付けられるでしょう。でね、虫の中には「夜行性昆虫」って言って、昼間寝ていて夜に活動する昆虫って結構いるんだよ。そういう昆虫に花粉を付けてもらう植物は、夜に花を咲かせるんですよ。ちゃんと虫の出てくる時間と起きてくる時間とを合わせているんです。

もう一つはね、植物の種類によって花粉を付ける昆虫が決まっている場合があるの。そうすると、月下美人は日本の植物じゃなくて南米の植物でしょ。南米にいる昆虫にしか花粉が付けられない植物だから、その虫がいないから花粉が付けられない、というわけなんだよ。だから、よく熱帯の植物なんかが売っているけど、花は咲いても実は成らないってわけ。

こういう植物っていっぱいありますから、調べてみると面白いですよ。


園芸研究家・柳 宗民 先生

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