にんげん・せいかつ
Q. くちびるだけ、どうして赤く血の色が透けて見えるのですか? (小2、女の子)
A. 遠藤先生:考えてしまいますねえ。私たち人間はたくさんいる動物の中で、珍しく相手の顔を見て話をします。あなたは友達と話をする時に相手の顔を見て話をしますよね?
女の子:はい。
遠藤先生:その時、例えば相手の表情が楽しそうな顔をしているか、悲しそうな顔をしているかを見ます。見ている顔にはくちびるがあります。怒っている時にはくちびるを「へ」の字にするという表現があるかもしれませんが、くちびるがどういう形をして、相手の人がどういう気持ちでいるかを相手の顔から読み取ろうとしますよね?
女の子:はい。
遠藤先生:人は相手の顔から相手の気持ちを読み取る動物なのです。他の動物は相手の気持ちを知ろうとしないでしょうし、「喜怒哀楽」というのをあまり持ちません。そして、それを見せることも他の動物はあまりありません。例えば、他の動物でうれしそうだな、楽しそうだな、というのが顔に表れるのはあまりないと思います。
例えば牧場に牛がいたり、動物園でライオンがいたりしますが、表情が分かりづらいです。人はお互いの気持ちを知るために物凄く、くちびるが目立つようにできています。
おねえさん:わざとですか?
遠藤先生:はい。顔の中で相手の顔を見た時に「あっ、真っ赤で目立つくちびるが「へ」の字をしているぞ、喜んでニコっとしているぞ」というのが相手に伝わるように、くちびるが目立つ色をしていると言われています。分かりますか?
女の子:分かります。
おねえさん:これは血が近いのですか?
遠藤先生:赤く見える理由はやはり血がその近くに流れていて、表面をあえて他の色で覆っていないと言えます。
おねえさん:ほっぺたと比べると薄いのですか?
遠藤先生:そうですね。ほっぺたや普通の肌の部分は、もっと上に厚い色を通さない部分が出来上がってしまっていますが、くちびるの場合は奥の色がよく見えるようになっています。ではなぜ、奥の色がよく見えるようになっているかと言いますと、今説明をしたようにコミュニケーションですね。くちびるは、相手の気持ちを伝える、相手が何を思っているか自分が知るのを可能にするための道具なのです。

東京大学総合研究博物館の遠藤秀紀 先生

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