にんげん・せいかつ
Q. なんで「防衛庁」が「防衛省」になったのですか? (小4、男の子)
A. おねえさん:君はよくニュースを見るのかな?
男の子:はい。
池上先生:国の役所って「〜省」と「〜庁」の両方がありますよね。これは例えば、環境省、財務省とかの省の大臣がみんな集まって総理大臣と一緒に会議を開くことがあります。それは「閣議」といって週2回開くんですね。内閣の閣の人が開くので閣議と言うのですが、もし、緊急に会議を開きたいと思う時には、それぞれの省の大臣が「閣議を開いてください」と呼びかけると閣議が開けるんですね。省の大臣が呼びかければ、それが開けるんです。ところが、「庁」、前の防衛庁のトップは防衛庁「長官」と言って、大臣じゃないのですが、防衛庁だと他の省よりちょっと格が下になって、防衛庁長官が直接閣議を開いてくださいと言う事が出来なかったの。
それは、防衛庁の上には内閣府というのがあって、そこの下に位置するわけですから、内閣府を通じて、まずは総理大臣にお願いをして、「閣議を開いてください」と言う事しか出来なかったんですね。
でも、防衛庁の人にしてみれば、他の省と同じように大きな問題が起きたら閣議を開いてくださいと言えるようになるために、「庁」よりは「省」の方が良いなという希望を持っている人が多かったということなんですね。省と言ったほうが他の省と同じレベルになると思った。
防衛庁のトップは長官だけど、省になれば、大臣になれるんですね。「大臣!」と呼ばれる方が良いという思いがあって、環境庁も省になったんだから、防衛庁も防衛省になりたいなと言う方が、実は本音だと思うのですが、まあ、その結果、防衛省になったと思うんですね。

スタッフから:普通、閣議は火曜日と金曜日の午前中に開かれます。池上先生のおっしゃる「緊急に閣議を開きたいと思うとき」に開くのは、臨時閣議と言います。それと、答えにも出てきた、防衛省、財務省、環境省以外にもいくつ日本には省があるのか調べてみるのも良いかもしれません。

フリージャーナリストの池上彰 先生

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