にんげん・せいかつ
Q. おかあさんが甘酒(あまざけ)は体にいいと言っていったんですけど、今は夏だから冷たくして飲んでも効果はかわらないんですか? (小5・おとこ)
A.

甘酒(あまざけ)の作りかたは、むした米に「麹菌(こうじきん)」というカビの仲間をつけて、麹(こうじ)というものにします。それにお湯を入れてあたたかくしておくと、甘い飲みものになります。これが「甘酒」です。

じつは、江戸時代、人のいっぱい集まっている京都や大阪、江戸、つまり今の東京などでは夏の間だけ「甘酒売り(あまざけうり)」という人たちが安く売っていたのです。今のようにクーラーなどはなかったから、みんな暑さで体が弱くなってたんだよね。そういったときに「甘酒」を飲むと体にすごくいいというのがわかって、夏の飲み物になりました。

だからね、俳句(はいく)には食べものや飲みものがいつの季節に1番に合っているのかということをせつめいする「季語(きご)」という言葉があるのですが、「甘酒」はなんと夏の季語になっているのです。つまり、夏のものと考えられていたんだね。「甘酒」には、ブドウ糖(とう)や体にいいビタミンB1、B2、B6、パントテンサンイノシトールなどもぜんぶ入っています。それに、必須アミノ酸(ひっすあみのさん)といって、生きていくために体に必要なものも全部入っているんですよ。病気で病院に入院すると、てんてきをするでしょ。あの中身はなんと甘酒と同じえいようなんですよ。それと、冷たくしてもだいじょうぶ。成分はかわりません。ぼくは、冷たいほうがおいしいと思いますよ。


東京農業大学教授・小泉 武夫 先生

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