にんげん・せいかつ
Q. 人間はなぜ生まれたの? (小3・おとこ)
A.

う〜ん、人間が「なぜ」生まれてくるのかということは、神様しか知らないのかもしれない。でも僕は、「みんな生きているほうがいい」から生まれてくると思うんだ。キミも、自分がここに生まれてきて、ちゃんと暮らしているってありがたいことだと思うでしょう?

でね、昔のサルのようなものからどんなふうに進化して今の人間になったかというと、今から500万年くらい前、チンパンジーの祖先やチンパンジーと同じような姿をした人間の祖先が、アフリカの森の中で生活していたんだ。だけどね、だんだん森の気候が変化してきて、森が乾いて草原に変わっていっちゃったの。そのとき、2本の足で立ち上がって物を運んだり、子供を抱いて運んだりするのがうまかった人間の祖先は、草原で2本の足で歩き、生活の場所を広げてうまく生活できるようになったの。それが、今の人間の生活のおおもとなんだよ。

つまり、まわりの環境がかわって、その環境に合わせた新しい生活の仕方をいろいろ身につけなければいけないときに、人間の祖先の体の形や知恵がその環境に合っていたんだね。もちろんチンパンジーにも同じチャンスはあったんだよ。でも私たちの祖先の方が、ちょっと工夫がうまくて、少しでも遠くからうまくえさを運んできて、それを家族に分け与えたり、あるいは子供をうまく抱いて遠くにいけるようになっていたんだ。そういったことが重なっていって、新しい環境の中でだんだんうまく生活できるようになったんだね。

今でも、例えばオリンピックに出ていた選手たちは競技によって少しずつ体格が違うでしょう?あれは、その競技を一生懸命上手になろうとしていると、その競技に合った体格になってくるんだよ。つまり、ほんのちょっとのことが積み重なっていって、それぞれの環境にあった形で生活できるようになるということなんだ。


国立科学博物館・馬場 悠男 先生

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