にんげん・せいかつ
Q. 人間の盲腸は必要ないと言いますが、なぜ盲腸は必要ないのですか? (小5・おんな)
A. そうですね、本当に不思議ですよね。
盲腸っていうのは、ウサギなどのように、草を食べている動物にとってはものすごく大切なものなんです。
草を食べてる動物は、草を消化して、その中から栄養を取っているんですね。
そのために、ものすごく大きく発達した盲腸で、草を消化するんです。
人間も、これまでの進化の通り道の中で、盲腸が大切だった時期もあるんだけれど、今ではそう必要ではなくなったんですね。
ただ、進化の痕跡(こんせき)として残ってるの。
こういうのは、盲腸だけじゃなく、他にもいくつかあるらしいんですけどね。
で、「盲腸を取る」っていうのは、正確には盲腸の先っぽの「虫垂(ちゅうすう)」に、バイ菌がついて痛くなっちゃった時に取っちゃうことなんですね。
今まで、取ってしまって、困った事が起きたっていう事がないんです。
今でも、何かの働きがあるって説もあるんですけど、今のところは、人間には必要ないということになっています。
人間は、一番最初、つまりお母さんのお腹の中にいる時に、細胞一つから始まるんですね。
その時、お母さんのお腹から出てくるまでの間に、人間までの長い進化の道を、全部再現するんです。
水の中で暮らしてた頃の形もとるし、は虫類みたいな形もとるし、短い間に全部再現しているの。
だから、盲腸のように、進化の分かれ道にあった「あと」が残ってる、ということもあるんですよ。

宇宙開発事業団医師・村井 正 先生

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