にんげん・せいかつ
Q. 蚊に刺されると血が減るから皮膚はへっこむはずなのに、どうしてふくらむんですか? (小5・おんな)
A. おもしろいことを考えたなぁ。
まずね、キミがケガをしたりして血が出ると、その血は固まるでしょう?ね、血にはそういう性質があるのね。で、蚊が人間の血を吸うときは細い針をブスッとさすんだよね。それで血を吸うわけなんだけど、でも、もし吸ってる間に血が固まったら、針が抜けなくなっちゃうじゃない?だから、蚊はブスッと刺した時にまず、血が固まらないようなお薬を人間の身体に入れるの。
ほら、血液検査とかで血液をとられることがあるでしょう?あの時も実はそういう薬を注射で入れてるのね。そういうのと同じ様な薬を、蚊はチュッと針から入れてるの。だから蚊の針も抜けるんだよ。
で、キミの言う「血が減るのに皮膚がへっこまないで逆にふくらむ」ことのわけなんだけど、実は、さっきのお薬っていうのが、人間にとってはどうしようもないっていうか、イヤなものなんだよね。そうすると、人間の身体ってとってもよく出来ていて、そういうイヤなものを、どかそうとするの。そして「もう入ってきちゃ困るよー」って、フタをしようとするんだよ。蚊に刺されるとかゆくなるのは、その、最初に入ってきたお薬がかゆいからなんだけど、かゆいというのはどういうことかというと、「今ここに、入ってきちゃいけないものが入ってきてますよー」という、人間の身体が出しているサインなんだ。
だってそうじゃなかったら、バイ菌とかが身体に入ってきてもわからないでしょう?「マラリア」なんていう悪い病気を持ってくるのは蚊なんだけどね。で、それに対して人間の身体は「入ってきちゃダメー」っていって守ろうとするの。それでふくらんじゃうんだよ。血が減って皮膚がへっこんだりするのではなく、自分で自分を守るためにその部分がふくらむんだ。人間の身体ってよくできてるよね。

お魚博士・杉浦 宏 先生

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