にんげん・せいかつ
Q. ミイラはどうやってつくったんですか? (小5・おとこ)
A. お姉さん:にんげん? こども:はい、テレビで見ました。 実はね、去年の秋に早稲田大学の吉村作治先生と一緒にエジプトに行って、たくさんミイラを見てきました。
きっとキミが本やテレビで見たのは、人間のミイラだと思うんだけど、エジプトにはネコやハトなどの動物のミイラもあるんだよ。古代エジプトっていうのは今から3000年とか4000年とかの昔ですけど、その頃の人たちはそういうミイラもつくったんですね。で、どうやって作るかっていうと、亡くなってしまった体から、内臓をとっちゃって、水分をだんだん抜いてくのね。そのために、何重にも香油(こうゆ)っていう油をぬったりね、あと、包帯のようにみえる布で、あれはたぶん「エジプト綿」というエジプトが産地の綿だと思うんですけど、それで何重にもくるんでいくんですね。
だから、よく映画なんかで「ミイラ男」とかいって、全身、包帯だらけになってたりするじゃない?ああいう感じで全部巻いていくんですね。で、その内臓をとって水分を抜いて、布にくるんで、という工程を何回も繰り返していくとミイラができるみたいです。
実際にエジプトで展示してあるのは、グルグル巻きになっているものもあるけどね、そのほか、それを全部取り去って、ミイラ本体だけをガラスケースの中で湿度なんかも調節して、展示しているものもあるんです。そうするとね、体の中から全部、水分とか油分とかが抜けちゃってるわけだから、非常に、ひからびたような形になっています。でも人間のミイラは、ちゃんと人間の形をしているし、顔の表情もわかるの。だけど人間の体ってほとんど水分でできていて、それが全部抜かれちゃってるわけでしょう?だから、普通に活動している人間と比べると、ミイラはものすごく細くて小さいですね。そして、古代エジプトの人は、体をそうやって永遠に保存することで、この世での生活は終わっても「永遠の命」っていうものを考えたみたいですね。そんな意味も覚えておいて下さい。
エジプト以外にも、例えば日本にだってミイラはあるんですよ。だからキミが大きくなって機会があったら、見に行ってみてください。

科学ジャーナリスト・中村 浩美 先生

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