佐々木先生：今、「スピリット」という探査機（たんさき）が火星に行って写真をたくさん地球に送ってきてくれていますが、写真では水は無く土や岩がたくさんあります。でも、火星の北極とか南極あたりの寒いところには、地面の表面付近に氷があることがわかっているんです。ちょっと地面をほると土にまじって氷があるんですよ。そして火星の赤道付近のややあたたかいところでも地下100メートルとか500メートルとかほれば地下に氷があることがわかっています。それはまだ直接は確かめられていません。しかし、火星の表面の様子をみると地下に氷がないと説明できないようなことがいくつもあるんですね。というのも、たとえば地下に氷があると、火星の表面の山とか谷とかがなだらかになるんですね。それは氷が石よりもやわらかく、ちょうどうまくなだらかな地面になるんです。そういったことで、地下に氷があることがわかっているんです。だから火星には、水があるんですよ。
ちなみに、1000万年前、火星の歴史の中ではゴク最近では、火山活動が起きて水が流れ出したというあとが残っているんです。地下の氷が表面にとけて出て来ることは、今後あるかもしれませんね。

東京大学大学院理学系研究科：佐々木 晶　先生