TBSラジオ〜聞けば、見えてくる〜  
TBSラジオ2010年度採用情報
2008年8月8日に開幕した北京オリンピック。TBSラジオでは連日、競技の様子、数々の記録、選手の姿などを伝えました。オリンピックという大きなイベントを前に、社内各部署がどのように関連しあい、どのような作業を経て放送に至ったのでしょうか。プロジェクト「北京五輪」。オリンピックに深く関わった5人のメンバーが、それぞれの立場から語ります。
北京オリンピックへの道〜JC統括として、TBSラジオ編成デスクとして
まず、オリンピックをどう伝えるのか。全体を考えることがすべての始まりです。
JCラジオ統括 碧海 純
JCラジオ統括として8月2日から25日まで北京に滞在し、日本のオリンピックラジオ中継の指揮をとった。オリンピックが終わった10月の異動辞令で現在は制作センター長(制作&ニュース担当部長兼任)。1985年入社。ニュース、制作、編成など歴任。オリンピック時はスポーツ担当部長。
僕はTBSラジオのために北京に行ったわけじゃないんですよ

全ラジオ局の親分に
僕の役目は、JC(※1)ラジオチームの統括として、北京で各局のアナウンサーや技術スタッフの指揮を取ることでした。この仕事はニュートラルな立場で具体的に決めなきゃいけないことが相当あって、いろんなことに気も使わなきゃいけないんですよね。今回現地で指揮をするのはTBSラジオと決まっていて、誰が行くかということになった時に、ラジオの仕組みが分かっていて、民放のこともNHKのことも考えられて、もちろんオリンピックの事も分かっていて、シーズン中のプロ野球のことも考えられる人・・・これはかなり大変な仕事だなって思ったんで「僕が自分で行きます」って(笑)。
オリンピック開幕の1年半前から、月に1度のJCデスククラスのメンバー会議に出てました。「競技の日程が出てきました」とか「テレビはこの競技にはこの解説者をつけますがラジオはどうしますか?」みたいな話をするんです。NHKさんはどうするんだろう、テレビとラジオで解説者が重なってしまったらどうしよう、経費節減も考えないと、などなど、あらゆる面での“調整事”を受け止めていくわけですね。
※1:【JC】(Japan Consortium:ジャパンコンソーシアム)。民放とNHKが共同で構成するオリンピックを放送するための団体。今回JCメンバー140名中ラジオチームは14名(碧海、各局アナウンサー8、技術スタッフ5)。

JCラジオ統括 碧海 純
伝えるべきものは?
一番重要なのは「ラジオはこの競技に実況つけます」と決めることです。実はJCラジオには2つしか回線がないので、同時にふたつの中継しか送れないんですが、同じ時間に4つも5つも競技があったりするわけですよ。例えば、開幕4日目は、柔道、サッカー女子、ソフトボール、体操、水泳があり、夜に男子のバレーがあるみたいな感じで、そうすると生で送るものはどれで、後から録音したものを送るのはどれにするかとか決めていくわけです。競技が予定通り始まらなかったり、雨で中止になったらとか、いろんな要素が絡んでくることも考えて頭抱えることもありました。

JCラジオ統括 碧海 純
伝える人は?
JCラジオ8人のアナウンサーの誰にどの競技の実況中継をしてもらうかを決めるのも僕の役目でした。まずアナウンサー全員に「あなたは何の競技ができる?」って確認して、もちろん「やったことない」という人もいれば「是非やらせて下さい」みたいなのもあって、なるべくひとつの会社にメリットとか利益が偏らないように割り振りを考えていくんです。人数の関係でアナウンサーがディレクターもやるので4チーム、いっぺんに4つが限界なんですよ。“この日はこの人が喋ってこの人がディレクター”、“朝はこの人が喋って夜はこの人”というように、シフト表を事前に、19日分作ったのかな。

JCラジオ統括 碧海 純
顔合わせそして北京へ
北京へ出発する3週間前に、ラジオチーム全体の顔合わせ会をやりました、昼間にお茶会(笑)。やっておいて良かったね、あとからみんなに聞くとね。そこでみんなにそのシフト表(配信予定表)を配ったんですよ。そうすればみんな準備ができるじゃない。日本にいる間に取材なんかもするわけですよね。国内大会の試合を見に行って調整は進んでいるかとか、メダルは取れそうかとか、当然みんな取材したいでしょうし、そういうのは大歓迎ですからね。
TBSラジオを仕切るのはこの部署です。
編成デスク 三条毅史
2008年5月に制作から編成に異動し、いきなりオリンピック編成デスクとして社内を駆け回ることになった。1990年入社。ラジオニュース記者、特番班ディレクター、「森本毅郎スタンバイ」「アクセス」「ストリーム」でディレクター、プロデューサーを勤め、『コラムの花道』や『封印歌謡大全』など話題性ある番組を作った。
みんなが「オリンピックたいへんだった」って言ってたと思うんです。その主犯です。

考える 決める
碧海から「どんな競技がいつどこで行われます。その中で、JCはこれとこれを中継します」っていう情報が来ると、それを基に今度は『TBSラジオはどういう風に放送していくか?』というのを決めていくわけで、そこからが僕、編成部の仕事です。TBSラジオで普段やっているレギュラー番組もある、北京では野球をやっている、日本ではプロ野球中継もやっている、というようなケースで、どれを優先して放送して、どれを放送しないかを考えていくわけです。

想定する
例えば最初のころでいうと、「オリンピック男子サッカー初戦」と「プロ野球」がどちらも午後6時開始の場合、『オリンピックサッカーを放送しましょう』と決めます。その何日かあとに「オリンピック男子サッカー日本対オランダ」が午後6時、「オリンピック野球日本対キューバ」が8時から予定されていると『サッカーオランダ戦を中継した後に野球キューバ戦を中継する』わけですが、もしサッカーがこの時点で2敗して決勝リーグに進出来なくなっていた場合は『午後6時からプロ野球を中継し、8時からキューバ戦を中継します』・・・、というような方針を立てるわけです。“野球は8時に始まったら深夜0時くらいまで放送に影響がでるね”、とか
編成デスク 三条毅史
“北京は雨季だから雨で試合開始が遅れるかも”“もしかしたら夜中でもやるかも”と、あらゆるケースを想定し、『終了が夜中の2時、3時、4時くらいまでオリンピック放送をした場合』何を放送するのかまで、事前に何パターンもシミュレーションを行うんですよ。
それを全て紙に書いて、トラフィックデスクとか技術セクションとか実際に中継をするスポーツ担当の人、制作部の担当部長などに集まってもらい、「こういう方針でやりますよ」と読み合わせながら、分からない所とか曖昧な所とかを潰していきました。7月あたまくらいからこの準備作業にとりかかっていましたね。

編成デスク 三条毅史
備える
あとは、オリンピックの試合が長引いてしまう場合などを想定して、番組側にも事前準備をお願いしました。たとえば“エレ片のコント太郎”や“コサキンDEワァオ!”など深夜の録音番組には、オリンピック放送が延びた場合に備えて30分の短縮バージョンを特別に作ってもらいました。作っても使わないかもしれないし制作の人たちには大変な負担だったと思います。
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