TBS『水曜プレミア 文化庁芸術祭参加作品『無名』』

本文へジャンプ






Program homepage:suipre_20041124 
画像「水曜プレミア 文化庁芸術祭参加作品『無名』」

水曜プレミア 文化庁芸術祭参加作品『無名』

2004年11月24日 水曜日21:00から

※番組は終了しました

▼出演者

松本幸四郎、風吹ジュン、長山藍子、高畑淳子、紺野まひる、沢尻エリカ、小西大樹、杉本哲太、水沢螢、小林隆、片岡涼、大驛阿須実、武藤由季、小野武彦、加藤治子、大滝秀治

▼スタッフ

製作:ファイン、TBS
プロデューサー:森川真行
原作:沢木耕太郎「無名」(幻冬舎刊)より
脚本:清水有生
演出:竹之下寛次
編成担当:田代秀樹、山田康裕

みどころ

沢木耕太郎の原作を松本幸四郎の主演でドラマ化。
父の最期を看取る、作家の胸に去来するものは…

 TBSテレビでは11月24日よる9:00〜10:54の水曜プレミアでドラマ『無名』を放送する。人気作家・沢木耕太郎の小説『無名』(2003年、幻冬社刊)を初めてドラマ化するもので、今年度の文化庁芸術祭参加作品となる。

 人気作家・倉沢が家族とともに父親の最期を看護する日々を描いて、家族同士の言葉を超えたさまざまな思い、父と息子の深いつながりを伝える、心にしみる感動作。
 沢木耕太郎自身がモデルになっている主人公の小説家・倉沢健太郎を松本幸四郎が演じる。幸四郎は平成10年度の芸術祭参加作品『烏鯉』以来TBSドラマの主演は6年ぶり。父親役の大滝秀治は幸四郎とは本作品が初共演となる。
 母親には加藤治子、幸四郎の姉に長山藍子、高畑淳子。幸四郎の妻を風吹ジュン、主人公の親友である出版社社長を小野武彦が演じる。ほかに杉本哲太、水沢蛍、紺野まひるらが、確かな演技で静かなドラマを支える。
 清水有生の脚本を竹之下寛次が演出した。

 作家の倉沢健太郎(松本幸四郎)は、ある中学生の起こした痛ましい事件を取材していた。少年は自分をいじめていた同級生を殺し、その後自分の父親も殺した上で、自らも命を絶ったという事件だった。少年は父親を尊敬していたという。少年の心のなかで何が起こったのか…父と子の関係は…?
 健太郎は、自分の父の入院をきっかけに、自らの父子関係も振り返ることになる。
 母親のシュウ(加藤治子)からの電話で父親の五郎(大滝秀治)が入院したことを知った健太郎は、シュウと姉、亮子(長山藍子)、美佐子(高畑淳子)と交代で五郎の看護に当たる。
 五郎の寝顔をながめながら、健太郎は読書家で博学の父親を尊敬していた少年時代を思い出す。寡黙な父の記憶がよみがえる…
 五郎が書きためた俳句を集めて本にしようと考えた健太郎は、句を選びながら父の心の歴史をたどっていく。

 次第に体力が衰えてゆく五郎。健太郎には父の意識があるうちに確かめておきたいことがあった。
 健太郎は小学生の時、母親に叱られて家出をしたことがあった。健太郎は、その時父がかけてくれた言葉がふしぎに印象に残っていた。その言葉に込めた父親の想いはどのようなものだったのか。そして、健太郎はこの日どうやって家に帰ったのか記憶になかった。
 家族みんなの記憶を合わせてもその日のいきさつを思い出すことができなかった。しかし、事の"真相"は、五郎の死後、明らかになる。
 健太郎たち家族は、五郎の深い愛情をあらためて知るのだった。

 実は健太郎にも一人息子で大学受験を控えた祐介(小西大樹)がいる。健太郎は受験勉強もせずギターに夢中になっている祐介を複雑な心境で見ていた。健太郎と祐介ももう一つの父子関係が微笑ましく描かれる。五郎、健太郎、祐介それぞれの世代の父と息子、それぞれの家族の心に響くドラマが展開する。

 回想シーンで登場する健太郎の父母を演じるのは、杉本哲太と水沢螢。家族が暮らす昭和30年代初期の生活を懐かしく思い出す人も少なくないはずだ。
 今年、各局のテレビドラマに出演し、いずれもが高い評価を得ている幸四郎が、本年を締めくくるドラマとしてこの芸術祭参加作品に登場する。ご期待いただきたい。

その他

<あらすじ>
 人気作家の倉沢健太郎(松本幸四郎)は、ある少年の起こした事件を取材していた。いじめにあっていた少年が、自分をいじめていた中学の同級生を殺し、その後自分の父親も殺した上で、自らも命を絶ったという事件だった。少年は父親を尊敬していて、父子は理想的な関係に見えたという。悲劇はなぜ起きたのか…
 取材に忙しく時を過ごしていた健太郎は、母親のシュウ(加藤治子)からの電話で父親の五郎(大滝秀治)が入院したことを知る。脳出血だが命に別状はないという。
 しかし、五郎は八十九歳と高齢だ。不安にかられながら健太郎は病院へ向う。五郎の意外に元気そうな表情に胸をなでおろすが、付き添っていた姉の亮子(長山藍子)から五郎が深夜に意味不明なことを叫んで暴れたと聞き驚く。病院からの要請で、健太郎と亮子、そしてもう一人の姉・美佐子(高畑淳子)が交代で深夜付き添うことになる。  五郎の寝顔をながめながら、健太郎はこれまで父と過ごした日々を思い出す。少年時代、健太郎は、読書好きで博学な五郎を尊敬していた。一緒に映画を見に行ったこと…貸本屋に通ったこと…さまざまな記憶のなかから、健太郎が長い間疑問に思っていたある事件の記憶がよみがえる。
 健太郎が小学生だったころの事件だ。母親に叱られ出て行けと言われた健太郎に、五郎がかけた不思議な言葉が強く印象に残っていた。だが、自分がどうやって家に帰ったのかは憶えていない。健太郎はその日のことを五郎の口から聞きたかった…
 五郎は最近になって、趣味の俳句をまた始めていた。その句を読んでいくうち、五郎の句集を作ろうと思い立つ。看護の合間に、健太郎は妻の玲子(風吹ジュン)とともに五郎の詠んだ句を集めていく。親友で出版社社長の小島修司(小野武彦)が協力してくれることになった。
 健太郎には大学受験を控えた一人息子の祐介(小西大樹)がいた。祐介は受験勉強もせず、ギターばかり弾いている。健太郎は祐介を複雑な思い出でながめてめていた。
 五郎は次第に弱ってゆく。家に帰りたいという五郎の望みが聞き入れられ、帰宅が許されることになった。家に帰ってほっとしたのか、五郎は回復してゆくように見えたのだが…
 最期のときがくる。
 「ありがとう」 
それが健太郎が五郎から聞いた最後の言葉だった。
 健太郎が父にたしかめたかったあの日のことはついに聞くことはできなかった。
 それは、葬儀の場で、ある弔問客の口から語られる。五郎が幼い健太郎を連れて通った貸本屋の主人だった。彼の話から、家族も知らなかった五郎の一面と、健太郎にたいする五郎の深い愛情があらためて明らかになっていく…。

<森川真行プロデューサーのひとこと>  昨年の暮れ原作を読み、素敵な話だとは思ったのですが、ドラマ化は難しいと考えていた。それがいい出会いが重なって作品にすることができ、感慨深い。
 松本幸四郎さんに主役を演じていただけたことで、原作者の沢木耕太郎さんからもドラマ化を了承していただいた。
 父と息子というのはある年齢以上になると、会話が少なくなり、相手がどう思っているのか話し合うこともないまま過ごしてしまうことが多いのではないか。そんな父子の心の交流を描くドラマを作りたいと思った。
 原作通りしみじみとした感動をよぶ作品に仕上がっていると思う。

<松本幸四郎のひとこと>
 今年は他局も含めテレビのいい仕事に恵まれた。『無名』はそれを締めくくるいい作品だった。
 沢木耕太郎さんとは接点はないと思っていたが、原作を読めば読むほど自分と父の関係を思い出させてくれた。沢木さんのお父さんは俳句を作っていたということだが私の父も俳句を作っていた。偶然のことだが驚いた。
 自分の父は歌舞伎俳優だったので無名ではなかったが、亡くなって振り返ってみると、この「無名」の父親のような生き方をした人だったと思う。地位や名誉にまったく無頓着な人だった。
 大滝秀治さんとは初共演だが、ずっと親子だったようにいい感じで芝居をすることができた。収録中、長山藍子さんに「ちゃんと息子になっていたわよ」と言われうれしかった。