聖なる川に抱かれた人々の祈りの風景
〜吉村作治教授と西山繭子がふれたインドの優しさと真の豊かさ〜
インドを旅していると必ず巡礼者たちの一団に出会う。手にしているのは真鍮製の壷やポリ容器。その中には、インドの人たちが神と崇めるガンジス川の水が入っている。ガンジス川で身を清め聖水を持ち帰る巡礼こそ、喜びに満ちた旅はないという。長く果てしない旅路の果てに、なぜ人は大河を目指すのか。大河に向かい何を祈るのか。ガンジスに託された人々の思いを探る。
いろいろな聖地を訪ねたいと語る女優の西山繭子さんは、遥かヒマラヤの麓にあるガンジス源流へ。吉村教授は大河が海に出会う聖地ガンガサガルへ。サンガムを起点とした2つの旅が始まる。2500キロ離れた二つの場所は、数ある巡礼地の中でも僻遠の地であり、敬虔なヒンドゥー教徒でさえめったに訪れる事はない秘境である。
遠い昔から絶えることのなかったガンジス川での沐浴。若い女性たちの巡礼グループに誘われ、西山さんも底冷えのする朝のガンジスに身を浸した。「神様はみんなのものよ。決してヒンドゥー教徒だけのものではないわ。」沐浴に来たおばさんたちが、やさしく声をかけた。インドは"3億を超える神がいる"ともされる多神教の国。貧富の差は激しくても人々は何事にも寛容だ。
「お金やモノをたくさん持つことが重要じゃない。日本人は人よりお金持ちになることが幸せだと考える。人より偉くなることが幸せだと考える。でも本当はそうじゃない。インドではモノをもっていない人こそ優しい。食べ物でも何でも分かち合う気持ちを持っている。そこに、もしかしたら私たちが忘れかけている優しさの原点があるんじゃないかな?」旅の終わりに、吉村教授はこう語った。