「2004年春 JNN社長会」で井上社長が基調報告


3月18日(木)、全日空ホテルにて「2004年春JNN社長会」が開催され、TBS井上社長が基調報告を行いました。

2004年3月23日
TBS総務局広報部

◆放送業界は自由競争の時代に入った。TBSは設立から50年が経ったが、最初の10年はラジオが支え、後の40年はテレビが支えてきた。しかし、G帯のセットインユースは、‘73年が74%、‘83年は75.3%だったが‘03年は66.9%となり、この20年間で10%近く落ち込み、じりじりとテレビの価値が下がっている。市場全体のシェアが伸びない中、放送産業は厳しいパイの取り合いになっている。

◆我々はマスコミとしてなるべく多くの人に見せることで勝負してきたが、最近はナローターゲットを狙ったものが伸びてきている。テレビでは10%も取れないドラマが映画にすると大ヒットするとか、DVDにすると大変売れるとか、こうした現象が起きている。マス媒体としてのテレビをナローで使う人が増えてきているのが特徴だ。これにどう対処していくか。またスポットはヤングターゲットを求められるが、ヤングターゲットを獲りにいくとマスが取れないということなる。これからそれをどう乗り越えるかが重要な問題だ。


◆TBSは今年を変革の年として4つの課題を掲げた。
「組織変更」
4年前に分社したが「経営マインドを育てる」「コスト意識を植え付ける」「各分社が競争して強くなろう」という目的だった。経営マインドは上がり、コストコントロールは成功したと思っている。しかし、組織を小さくした為に分社間が自分の組織を守るために自己組織防衛に動いた感がある。そこで、より競争力を強め、各分社間の垣根を取り払おうということで新しくテレビの大きな会社を作ることにした。どうすれば企画が上がりやすいのか、主として編成と制作現場の関係をどう調整するのかなど検討中だ。

「採用問題」
若い力を入れていかないと新しい時代のソフト開発が難しくなる。大きなテレビ新会社とラジオで採用して行きたい。2011年ぐらいまで40人ぐらいずつ採用し、社員数1300人ぐらいまでにしたい。

「年金問題」
今期は105億円の特別損失を計上する。
赤字の心配もあったが営業も頑張ってくれて利益も30億円は確保できそうだ。
先輩諸兄にも年金問題の厳しさを理解していただけたと思う。このデジタル時代、特にテレビの総体的低下を考えるとボディブローのように効いてくるので、今ここで、思い切ってやろうと思う。

「ネットワーク問題」
ニュースにはネットワークが欠かせないし、大きなソフトやイベントを獲得のするためにも重要だし、なんとかネットワークを維持して行きたい。
我々の系列は、日本で一番由緒あるいいネットワークだ。それだけに、地元の有力新聞紙と関係も強く、経営的にも政治的視野も、ローカル局の存在感も強い。
改革が一年遅れることは将来の3年分に相当する。
利益水準も他系列に比べると差が開いている。
これからお互いに生き延びる道筋をどう付けるか、改革を真剣に考えて欲しいので宜しくお願いしたい。

以上