TBS砂原社長 新年パーティーあいさつ




2002年1月7日
TBS総務局広報部

1月7日午後 TBS放送センターで行なわれた新年パーティーでの砂原幸雄社長あ いさつの概略をお伝えします。

2002年の門出をみなさんも新たな期待と抱負に満ちて迎えられたこととお慶び申 し上げます。年末年始の特別編成もいい結果が残せました。ただあえて厳しく申せ ば、番組制作者は、企画があたった時には、それを持続させることにあぐらをかくの ではなく、次の斬新な企画の開発に力を注ぐことが求められていると思います。一時 の高揚に浮かれて現状維持を掲げた途端、積極さは失われて守りの姿勢に入り、攻撃 は終わってしまいます。継続は惰性に流れがちです。視聴者は常に新たなものを番組 に求めており、そのニーズは絶えず変化していることを肝に銘じ、腰をすえて制作に あたることによって、スタッフの皆さんの知恵と汗の結晶を、さらに大きく伸ばし、 継続させていかなければなりません。
 TBSの売上げにも日本経済の影響が覆い被さってきています。いまわれわれが取 るべき選択は明らかです。最大の収益源は地上波の番組制作です。求められるのは、 あらゆる経営資源をコンテンツの制作に集中させてその価値を高め視聴率をアップさ せ、それによりシェアを拡大させ収入を確保することです。TBSの生業(なりわ い)に全精力を傾けることが緊急の課題です。無駄な経費を削減して制作費に回す一 方で、あらゆる角度から我々自身の足元をもう一度見つめなおして制作コストを削減 する、いわば製作工程のドラスチックな構造改革を進めなければならないことは論を 待ちません。
 地上波のデジタル化には巨額の資金がかかりますし,BSデジタル放送も軌道に乗 るまでには時間を要します。これからは1年、1年がTBSの将来を左右する勝負の 年であり、今年は「終わりなき正念場が始まる年」です。
 私はかねがね、デジタル化とは放送と通信が共存する伝送路の革命であると考えて きました。将来ブロードバンドネットワークが普及すれば放送もそれを通じて視聴さ れることもあるだろうと考えています。しかし、放送がなくなると考えたことは一度 もありません。あくまでも放送局の自立したサービスが前提です。その自立したサー ビスとは第一に人間の生活に密着した24時間、365日、責任を持って番組を供給 する編成権。第二に誰でも等しく情報共有できるマスメディア機能。第三にこうした 機能を確実に行なうための伝送路の確保、この三点が基本です。
 放送を取りまく様々な動きは一段と変化を見せています。去年12月、内閣のIT 戦略本部の調査会は「IT分野の規制改革の方向性」という報告をまとめました。し かし今回の提言は、技術論あって、メディア論なし。放送の基本的役割を無視したり することが、意味のある規制緩和だとは思いません。しかし手を拱いていては放送業 界の外側から物事がどんどん動き出してしまいます。われわれ自らが、改革に取り組 むことが、放送否定の流れに立ち向かうための最大の課題です。
 青少年有害社会環境対策基本法案、人権擁護法案、個人情報保護法案などメディア 規制の包囲網には敢然と立ち向かわなければなりません。確かにメディアスクラムの 問題をはじめ、我々自身も考えなければならないことは多いのですが、あくまでメ ディア自身が自主的に取り組み、解決していくこと基本にすえながら報道、言論の自 由を守り、国民の知る権利に応えるべく努力をしなければならないと考えます。
新年早々、厳しい現実を指摘しましたが、難しい時代だからこそ会社の真価が問わ れ、個々の能力が問われます。答えは、私たち全員が勇気と知恵を出しあい、前進す ることでしか導けません。見方を変えればこれほどチャンスに満ち溢れた時代はあり ません。みなさん一人一人がプロとしての主体性を持ち、仕事に情熱を傾け、自己実 現を目指せば,TBS並びにグループ総体の業績、実績に結びつくと確信していま す。そのためには、個人を尊重するとともに、風通しよく物が言いやすいような、そ して創造性を遺憾なく、存分に発揮できるような環境作りを常に心掛けなくてはなら ないと思います。

問合せ先
TBS広報部 齋藤
03−5571−2160