新・調査情報 passingtime 1996/9-10 no.001
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バラエティー


構成会議は
ザックリといこう
田代冬彦 プロデューサー


スリリングで面白い番組の「離陸段階」
 5月にスタートした「輝く日本の星!」はまだヨチヨチ歩き、「ウンナンの気分は上々。」が7月19日から放送開始。毎週毎週、視聴率を見ながら、手直しの作業に追われている。
 同時に、この原稿を書いている七月は、十月の新番組の企画を詰める時期に当たる。プロデューサー、ディレクター、構成作家が数人で会議室にこもる。アイデアを出し合い、番組のコンセプトを決め、それに基づいて、具体的にプランを作っていく。こうした構成会議で今流行している言葉は、“ザックリと……”である。「ごちゃごちゃしたのはやめて、ザックリといこうよ」という具合に使っている。
 一つの番組を作るとき、実にさまざまな条件が出てくる。もちろん、面白くて視聴率が取れる、こんなことは条件というより、大前提である。もっと具体的な条件。番組のテーマは何か。放送時間帯はどこか。タレントはだれか。彼あるいは彼女はどんな特性の持ち主か。スケジュールは大丈夫か。十分に収録の時間が取れるのか。他局の新企画と「バッティング」していないか。
 いざ放送が始まってしまえば、番組はほぼ自動的に動いていく。レギュラーの番組はどんどん制作のプロセスが効率化していく。飛行機に例えれば、水平飛行に移ったわけで、今われわれがしている作業は離陸という一番危険でパワーを要求される段階である。離陸は苦しいが、水平飛行よりはるかにスリリングで面白い。

番組の柱を自分自身が見失わないこと

 構成会議では、いろいろな条件で制限されながら、面白い番組を考えなければならない。テレビ番組なのだから、分かりやすく楽しくなければならない。楽しいことを考えているにもかかわらず、さまざまな条件に気が滅入る時がある。こんなとき、“ザックリいこう”が出てくる。細かいところにとらわれている目線を解き放って、高い所から大きく見渡そうという提案である。まず、大きな基本条件を押さえる。その後、立ち現れてくる様々な条件をひとつひとつつぶしていく。
何回も暗礁に乗り上げ、そのたびに、また“ザックリいこう”が始まる。
 プロデューサーとして、新番組をたち上げるとき、一番大事な条件は、“ザックリ”作った「番組の柱」を自分自身が見失わないことである。
ディレクター諸氏も構成作家諸氏も様々なアイデアを出してくる。出演者の側からも様々な条件が出てくる。いいアイデアには飛びつきたくなるし、困った条件が出たときは頭を抱えたくなる。
 そんなとき、プロデューサーが動揺すると会議全体がストップしてしまう。時に、会議全体が盛り上がる目の覚めるようなアイデアが出る。全員がうなずいている。でも、“番組の柱”にてらすと、どうもうまくはまらない。こんなときにその名案を否定するのは実につらい。一緒に仕事していく仲間たち全員を敵に回したような気がしてくる。こんなときプロデューサーは、確信を胸に秘め、ひたすら説得を続けるのである。ザックリ、ザックリ……。
 ああ、プロデューサーは孤独だ。などといいながら一人で酒を飲む夜もある。