3月2日(水)
<唐招提寺展 残るところ4日間)
昨日(3月1日)は、よいお天気になって、1万3千人を超えるお客様がご来館くださいました。
3月2日、博物館の表慶館の前にある梅がきれいに咲いてました。鳥も遊んでました。早朝から大勢の皆様がご来館くださいました。28日に30万人を超えた訳ですから、3月6日までの会期末に40万人近くのお客様が来られるのではないかと思っています。最後の2日間は土曜日、日曜日です。かなり混むのではないかと思っています。平日にご来館いただけると、最後の2日間に比べたらまだ良好な状態でご覧いただけるのではないかと思います。
今日も、お昼頃、相当の混み具合でした。朝早くか、夕方がよろしいかと思います。レストランも混雑し、ご迷惑をおかけするかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
(えっ、今週雪が降る!?)
心配なのは、お天気。金曜日あたりはかなりの雪が降るという予報もございます。あ〜、こんな時に雪とは。ショックでございます。予報がはずれてほしいものです。万が一雪が降った場合には、少しでも歩きやすいように本館から平成館へ入っていただくことを検討しています。その場合には、正門のスタッフが当日ご協力をお願いいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
<唐招提寺展関連イベント 講演会「鑑真和上が伝えたかったこと」3>
2月26日、奈良国立博物館の西山厚さんが講演でお話をしてくださったなかで“えっ、そうだったの!?”“これは、心に滲みるわ”というものをセレクトしてご紹介しています。今回は、<鑑真和上は失明されていたのか?>です。
<鑑真和上は失明されていたのか?>
鑑真和上は日本に来られる前に、既に失明されていたというのが通説です。「東征伝」にある「時に和上頻りに炎熱を經て、眼光暗昧なり。ここに胡人ありて、能く目を治すといふ。遂に治療を加ふるに眼遂に明を失せり」という記述があります。これが論拠になって、鑑真和上は、来日前に既に失明されていたんだという説が唱えられるようになったそうでございます。なるほど。西山さんは、この通説に疑問を呈しておられます。来日された頃は、完全に失明されていたのではなく、ある程度は見えていた、そして晩年には完全に失明されたというのが、西山さんの説、このことを丁寧に説明してくださいました。昨年出版された「仏教発見!」(講談社現代新書)の一章に鑑真和上について書かれていますので、是非お読みいただくことをお薦めします。
西山さんは、まず、「東征伝」の記述のすべてについて信憑性があるとは言い難いのではないかと問題提起をされました。おっ!続いて、鑑真和上が東大寺の良弁(ろうべん)に宛てた書状(手紙)を示して、詳しい説明をされながら鑑真和上が完全な失明状態にはなかったのではないかとの説を提示されました。うむ。100%立証できた仮説ではないとのことでありましたが、一石を投じる重要な説であると、あたくしは思いました。
その書状は、鑑真和上がお経を貸してほしいと造東大寺司(ぞうとうだいじし)へ出された経巻の借用と返却に関わるものだそうです。10通の書状が貼り継がれており、その6通目が「鑑真奉請経巻状」と呼ばれるもので、現在、正倉院宝物になっているそうです。昨年開催された第56回正倉院展(奈良国立博物館)で初公開されたそうです。
鑑真和上が奈良の都にお入りになったのが754年2月、その年の3月18日に出された書状で、「華厳経」(けごんきょう)「大涅槃経」(だいねはんぎょう)「大集教」(だいじっきょう)「大品教」(だいぼんきょう)の4種類の経巻を貸してほしいという依頼の文書だそうです。「大涅槃経」はなく、3大部のみ鑑真和上に届けられたようです。この文書にある「三」「无」という文字の書き入れなどで、そのことがわかるのだそうです。ほほー。鑑真和上が失明されていたら、この文書を書くことができるでしょうかと、西山さんは問題提起をされていました。
また、書き出しの部分が唐時代の書儀に基づいているんだそうです。とりわけ、「起居」(目の上の人に健康を問う常套句なんだそうです)は、この時期の我が国には他に例がない表現で、鑑真和上がお書きになったと考える論拠になるのではないかと、西山さんはおっしゃってました。「鑑真」という署名の書き方やその他の文字の書き方からも、鑑真和上本人が書いたと考えられることを、西山さんは丁寧に説明してくださいました。お弟子さんが代筆したとも考えられるが、法進、霊曜、恵雲らのお弟子さんの筆跡とは異なっているそうです。
お弟子さんの思詫が代筆した可能性も否定できないそうですが、残念ながら彼の筆跡は残っていないのだそうです。どうして経巻を借りたのか?とお思いの方もおられるでしょう。実は、あたしもその一人でした。西山さんは、鑑真和上が日本の経巻が正しい記述になっているかチェックするために借りられたのではないかとおっしゃっておりました。なるほど。
<唐招提寺の建物 シリーズ8「鑑真和上御廟」>
平成13年6月の開山忌に唐招提寺を訪問された東京国立博物館の方から、画像をご提供いただきました。その画像を使用して唐招提寺の魅力をご紹介するシリーズです。今回取り上げるのは「鑑真和上御廟」です。鑑真和上御廟って建物?確かに通常の建物ではありませんが、唐招提寺の魅力を醸し出している場所ですので、ご紹介させていただきます。
<鑑真和上御廟>
静かな気配に包まれた場所です。金堂などと違って、やはり訪問される方はぐーんと少ないですからね。でも、唐招提寺と鑑真和上に関心のある方は是非訪れ、ここで鑑真和上のことを静かに思いおこしたいものです。花が咲き、鳥が集まる場所です。敷地には、井上靖さんの「天平の甍」の記念碑もあります。是非ご訪問くださいませ。
<図録の販売所を増やしました>
図録の販売が好調です!!スムーズに購入していただくために販売所を増やしました。
<残る会期は3月6日までの4日間>
会期末までもうカウントダウン状態。一人でも多くの方にご覧いただきたい唐招提寺展。皆様、できるだけ平日にお越しくださいませ。東京も雪が降るとか?!あらまあ、これは大変でございます。どうぞお天気と相談しながら、ご来館ください。雪の東京国立博物館、案外ゆったり見ることができるかも?なんて思いますが・・・、いかがでしょうか。でも、降ってほしくないわ。また、今日から“祈る女”になります。