1月11日(火)
◎1月12日(水)から東京国立博物館で行われる「唐招提寺展 国宝 鑑真和上像と盧舎那仏」の開会式が、11日午後博物館で行われました。多数のゲストが来館され、博物館の会場となる平成館のエントランスホールは、人で溢れ、熱気でむんむんしていました。主催者の挨拶では、東京国立博物館の野崎弘館長が国宝・盧舎那仏坐像が初めて金堂を出て展示されるなどの今回の展覧会の見所を、博物館の平山郁夫美術参与が、鑑真和上が日本と中国の友好に果たした歴史的意義や東山魁画伯の画業について、唐招提寺の益田快範長老が、修復中の金堂の様子や展覧会を通して、東京の皆様に、鑑真和上の精神を思い起こしていただきたいとの期待を、TBSの井上弘社長が、TBSは、唐招提寺の金堂の修復を10年間にわたって支援していくなどのメッセージを披露されました。来賓の駐日中華人民共和国特命全権大使の王毅さんは、この展覧会が中国と日本の友好に大きな役割を果たすことを期待しているとのメッセージを寄せられました。
今回の開会式では、これまでにない新しい試みがありました。新しい試みと1200年の伝統を有する唐招提寺の歴史の重みが相まって、記憶に残る開会式になりました。新しい試みの一つは、展覧会のテーマ曲が作られたことです。テーマ曲は、谷村新司さんの「昴」を、伝統的な和楽器を用い、さらに和音階と中国音階をミックスしたを新しい邦楽ヴァージョンに仕上げたもので、開会式でも、日本の伝統楽器で斬新な活動を展開する男性3人のグループ「ZAN(ザン)」が生演奏しました。伝統をいま風にアレンジした曲の生演奏で、会場はすごく盛り上がりました。谷村新司さんがご挨拶をされ、ご自身の原風景に、地平まで続く荒野、満天の星、冷たい風があり、その風景を核に「昴」という曲が生まれたことや、日中の熱い文化交流の架け橋になることへの期待を、静かな口調ではありましたが、熱く語っておられました。谷村さんは、上海音楽学院の教授をされており、鑑真和上の精神をまさに体現されているのです。
また、平成館の2階にある展覧会の会場へは、エスカレーターを使用して上がっていくのですが、その階段に、唐招提寺の蓮が再現されました。開会式にお見えになった若い女性が、「す、すごい」と思わず声を上げていました。その気持ち、よ〜くわかります。この蓮、なかなかお見事です。
東京・上野で、盧舎那仏坐像、鑑真和上座像など、1200年以上の時を経過した、我が国を代表する文化財と出逢える展覧会が、いよいよ12日からスタートします。寒い、冬の展覧会ですが、何故か、この展覧会には、人を<熱くするもの>があります。皆様も、是非、上野に再現された唐招提寺の金堂と御影堂で、静かに熱くなってください。会期は3月6日まで、是非上野でお目にかかりましょう。