コラム

2019年12月29日更新 text by 寺田辰朗

第6回東京五輪代表のトヨタ自動車・服部が5区に出場
旭化成・村山、コニカミノルタ・山本との対決が優勝を左右するか?

内容

30日に区間エントリーが発表され、東京五輪マラソン代表の服部勇馬(トヨタ自動車・26)は2年連続5区にエントリーされた。トヨタ自動車は3区に成長著しい西山雄介(25)、4区にキャプテンの大石港与(31)、6区には今季5000m日本人トップの13分22秒72を持つ田中秀幸(29)を起用。佐藤敏信監督は「5〜6区で逃げたい」と期待を込めた。
トヨタ自動車と2強を形成する旭化成は、4年連続で村山謙太(26)を5区に起用した。3区に市田宏(27)、4区に市田孝(27)と同学年トリオを3〜5区に並べ、西政幸監督は「5区終了時点で並んでいたい。6区で再スタート」とレースプランを話した。
村山は明成高、服部は仙台育英高と2人とも宮城県の高校出身。学年も1つ違いで、何度も戦ってきた。
前回は27秒後に中継所を出た服部が追い上げ、村山を含む4人の2位集団を形成したが、6区への中継では村山が1秒先着した。区間賞は服部が獲得している。
5区にはコニカミノルタの山本浩之(33)も出場する。16年大会5区は山本が区間賞を取り、17・18年大会では村山が連続区間賞、そして前回は服部と、過去4大会の区間賞選手が2020年元旦に激突する。

前回区間賞の服部の5区攻略法は?

服部は五輪イヤーの幕開けとなる走りに関して、30日に行われたカコミ取材で次のように話している。
「過酷なコースの5区で強気、粘りを出せたら、マラソンで苦しくなったときに生かすことができます。しかし最初から無茶な入りをして失速したら、強化につながりません。安定した走りが自分の特徴なので、自分の良さは消さないなかで攻めの走りをしたい」
前回の村山との競り合いについては、反省点が多いという。
「ラストで謙太さんに勝てるとは思っていませんでしたが、残り400mで離されました。5区終了時の3位が結局、ゴールの順位になった。前回は思ったより後ろの順位でタスキをもらっています。(速く入りすぎたが)今年は焦ってレースを進めず、前回より落ち着いた展開をしたい」

村山は宮城県の1学年先輩で、山本は東洋大の7学年先輩にあたる。
「2人とも強さがあります。こちらが上手く力を使ったり、逆に使われたりするかもしれませんが、(レース展開としては)ラスト3kmが重要になりそうです。コース的に少し上っていて引き離すのは難しいのですが、そこが勝負になりそうです」
整理をすると、服部の2020年最初の走りで注目すべき点は2つ。
1つは前半の入りのスピードだ。オーバーペースにならない範囲で、速い入りができているか。もう1つは最後の3kmの走り。ラストスパート勝負では勝てないので、その3km全体を使って勝負に行く。
服部の五輪シーズン最初の走りは、この2点に着目することで理解度が上がって面白く観戦できる。

服部とは対照的な村山の5区の走り方

村山は初めて区間賞が取れなかった前回の走りに、悔いが残っている。
「3kmをそれまでで一番速く入ったのですが、トップを行く定方(俊樹・MHPS・27)選手との差がそれほど縮まらず、なおかつSUBARUの口町(亮・25)選手について来られて、もしかしたら調子が悪いんじゃないか、と感じてしまったんです。そこで守りに入った結果、集団に追いつかれ、そこに勇馬も加わってきました。あのまま突き抜けて、定方選手をとらえるべきでした」
服部とは逆で、最初から速いペースで入るタイプである。2人がどんな位置でタスキをもらうかが注目点だ。
服部が前で受けた場合、両者の差はどんどん詰まって並走になる可能性が大きい。そのまま村山が突き放すか、逆に後半で服部が引き離すか。
村山が先に中継所を出たときは、前半は両者の差は大きくなっていく。後半でその差が縮まると予想できるが、村山が一定の差を保って6区にタスキを渡すのか、服部が逆転するのか。
村山は4区出場にも意欲を持っていたが、5区に対しても熱い思いを持っている。コラム第1回で紹介したように「ニューイヤー駅伝は5区がカギになる。そこで結果を残してきたことは、誇りに思っています。他のチームも5区をもっと重視していい」と話している。

コニカミノルタの山本も、コラム第3回で紹介したように、「風がなければ区間記録更新も」と言うほど好調だ。
5区の走り方については「リズムを崩さないことが重要です。最初の1kmを速くもなく、遅くもないペースでスッと入れば、後半まで走れます。最後2kmくらいでギアを切り換えても追いつける」と話している。服部と同じ走り方だ。
前半から飛ばす村山と、後半を意識して走る服部と山本。5区の3人の走りが、勝敗を大きく左右する。

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寺田辰朗(てらだ たつお)プロフィール

陸上競技専門のフリーライター。
陸上競技マガジン編集部に12年4カ月勤務後に独立。
専門誌出身の特徴を生かし、陸上競技の詳しい情報を紹介することをライフワークとする。一見、数字の羅列に見えるデータから、その中に潜む人間ドラマを見つけだすことは当代随一。
地道な資料整理など、泥臭い仕事が自身のバックボーンだと言う。選手、指導者たちからの信頼も厚い。
AJPS (日本スポーツプレス協会) 会員。

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