:: ― 出 合 い ―

三十五年前、金子みすゞの一編の作品『大漁』に出合わなかったら、今の甦りはなかったでしょう。そして、十六年間のみすゞ探しの末に、弟上山雅輔(正祐)さんに出合わなかったら、今、みすゞさんの五百十二編の作品を私たちは読むことはできませんでした。すべては出合いです。

みすゞさんは人だけでなく、自然とも、宇宙とも、見えない存在とも、まっすぐに出合える人でした。だからこそ、向こう側のまなざしに立って、うたうことができたのです。二十一世紀を生きる私たちにとって、このまなざしは不可欠でしょう。今回のドラマが日本中の人にとって、うれしい出合いになって下さったら倖せです。


矢崎節夫
遺稿となった3冊の手帳(童謡集)
遺稿となった3冊の手帳(童謡集)▲
提供:金子みすゞ著作保存会

矢崎節夫(児童文学者)
昭和22(1947)年、東京生まれ。早稲田大学英文学科卒業。
童謡詩人佐藤義美、まど・みちおに師事し、童謡・童話などの世界で活躍。昭和57(1982)年、童話集『ほしとそらのしたで』(フレーベル館)で、第12回赤い鳥文学賞を受賞する。また、童謡詩人金子みすゞの埋もれていた遺稿を見つけだし、『金子みすゞ全集』(JULA出版局)として出版、以後その作品集の編集・出版に携わっている。主著に、童謡集『ぼくがいないとき』(雁書店)、絵本『うさこのサンタクロース』(フレーベル館)、『みみこのおはよう』(JULA出版局)、童謡『せいくんとおねしょん』(小峰書店)、評伝『童謡詩人金子みすゞの生涯』(JULA出版局)などがある。
yasaki

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