「メディア規制」法案 ここが問題
メディア規制3点セットについて

  今国会で、国民の知る権利や表現の自由をしばりかねない法案が議論されています。個人情報保護法案、人権擁護法案、青少年有害社会環境対策基本法案の3法案で、わたしたちは「メディア規制3点セット」と呼んでいます。

  コンピューターに膨大な個人情報が蓄積されている現代で、個人情報の保護は必要ですが、提出された法案は、報道機関と名簿業者を同じ原則で縛ろうとしています。取材の現場で、内部告発者が情報提供をしにくくなることが懸念されます。

  人権擁護法案は、法務省の外局の人権委員会を設立するための法案ですが、差別、虐待と並んで、報道被害を深刻な人権侵害と定義して、積極救済の対象にしています。準行政機関が取材のやり方に介入するおそれがあるわけです。

  「国民の知る権利」は活発な報道によって確保されます。それを可能にするのは、取材の自由です。こうした法案が成立すれば、取材の手足がしばられ、「国民の知る権利」が空洞化するという事態が心配されます。

  こうした法案が具体化に向けて動いている背景には、メディアによるプライバシー侵害や名誉棄損などへの国民の強い批判があることは確かです。こうした批判にこたえるため、放送界は「放送と人権等権利に関する委員会機構」(BRC・BRO)を設立して、自ら律するよう努力しています。

  自民党内部で検討されている青少年有害社会環境対策基本法案は、いまの形で国会に提出されるのかまだ分かりません。しかし、青少年に「有害」な雑誌や番組を規制するため、業界ごとに規制団体をつくり、それを主務大臣か都道府県の長が指導、監督するという仕組みは、「官」が「表現の自由」を圧迫する結果になりかねません。放送界は第三者機関「放送と青少年に関する委員会」を通じて、番組に関する視聴者の苦情の受け付けと番組の品質向上に努めていますが、「表現の自由」に関わることは、このような自主的取り組みで対処すべきだと考えています。

  こうした法律を通じて、活発な報道、自由な表現活動が圧迫されることは、まさに主権者である国民が圧迫されることにほかなりません。この問題に関心を高めてくださるようお願いします。




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