選ばれし素敵な訳たち

「あとがき」講評

「あとがき」です.応募総数は39でした.
とうとう最後の講評になりました.投稿者の方々からも,またTBSのスタッフからも,これで終わってしまうのはさびしいとの声が寄せられていますが,ヒロピーとしては,そろそろ幕引きの時かな,という感じがしています.あれほど詳しく書き始めた「訳のコメント」は,応募者のみなさんのレベルアップとともに書くことがなくなってしまったし,毎回の「講評」にしても,ちょっと苦しくなってきました.
 一般の方たちからの公募による翻訳コンクールである以上,作家・翻訳家・研究者の訳に見られない新鮮で独創的な解釈に注目したいのですが,他方でやはり原文をどれほど尊重するのか,という問題がつねにあります.誤訳がある場合はやはり減点せざるを得ないし,過剰に恣意的な解釈については,どうかな?と思ってしまうし...体操競技やフィギュア・スケートと同じく,難度の高い技への挑戦は讃えたいと思いますが,それでも着地に失敗したり転倒した場合は,お疲れさまでした,また出直してください,と言いたい気持ちになるし...
 4月の初め,TBSからこの監修の仕事を依頼されたときは,果たしてどんなものになるのか想像もつきませんでした.TBSスタッフの皆さんも,きっと同じ気持ちだったと思います.ともかく走り出して見なくてはわからない...そんな状態でスタートしたのですが,ほんとうに熱心な応募者の皆さんに支えられて,ここまでやってこれました.あらためてお礼申しあげます.また,くりしぇさんのように,ブログでこの翻訳コンクールを外部から盛り上げてくださった方もありました.
 で,今回の講評です.個性の出しにくい章でもあり,また皆さんの訳も,最後ということを意識してか,あまり冒険をせず,手堅くまとめたものが多く見られました.そのなかでは,繰り返しによってゆるやかなリズムを刻むNeige さんの訳が意欲的でした.「その時,男の子が皆様のところへやって来たら,やって来た男の子が笑ったら,笑った男の子が金色の髪をしていたら,金髪の男の子は,何を尋ねられてもだまっていたら,皆様は,彼が,まさしくあの星の王子さまだと分かるでしょう」.これにはキツネ賞を差し上げたいと思います.他には,みみずくさんが,最後に思いっきり可愛い訳を出してこられました.第1章に続いて2度目の王子さま賞を差し上げます.また,ナオさんの訳文は,読んでいてとても心地よいリズムが印象的でした.
全体に誤訳が目立ったのが,attendez un peu juste sous l'étoile ! および Alors soyez gentils ! の2箇所でした.そのあたりも考慮して,しかも日本語としても優れたものをということで,優秀作品としては,次の12作を選びました.

 「oomotさん」「lily of the valley さん」「プティムートンさん」「こみちさん」「vendredi 13 さん」「satochar さん」「みみずくさん」「はつよさん」「Neige さん」「あぱさん」「さとさん」「ナオさん」

 また,パイロット賞としては,最後を堂々としめくくるにふさわしい「vendredi 13さん」の訳文を選びました.第18回に続いて2度目のパイロット賞です.

 パイロット賞 「vendredi 13 さん」
 王子さま賞  「みみずくさん」
 キツネ賞   「Neige さん」

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