選ばれし素敵な訳たち
優秀作品
訳者の皆さんの作品
「第20章」講評
第20章「王子さまバラにであう」です.こちらのミスで,締め切り日が2回になりました.第1回締め切りまでに38件,第2回締め切りでは13件,合計51件と今回も第18章と同数の多数の応募がありました.短い章ですが,後半の王子さまのセリフに,みなさんそれぞれの創意が見られました.
Elle serait bien vexée, si elle voyait ça… の訳を見てみましょう.「僕の花がこれをみたら,ひどく傷つくだろうな」という簡潔ですっきりした訳.「これを見たら,あのこは気を悪くするだろうな」というように,花を「あの子」と呼んで親愛を示している訳.「あの花がこれを見たら,心底ムッとするだろうな...」と,花の感情を強調した訳.あるいは「あの花がこれを見たら,きっとものすごくきまり悪く思うだろうな」と,花への感情移入が感じられる訳,「彼女はプライドを傷つけられちゃうだろうな.もしこれを見たら...」と,王子さまの花への気遣いが感じられる訳....などいろいろありました.
もう一か所,pour m’humilier moi aussi … のところを見てみましょう.「ボクに罪を着せるため」というちょっと激しいのもありましたが,他には「ぼくをぎゃふんと言わそうとして」「僕を降参させようと」「ぼくを後悔させようと」「ぼくに仕返しをしようとして」「ボクにもみっともない思いをさせようとして」「僕もつらい目にあえばいいと思って」「ぼくの気もくじこうと」「ぼくをきまり悪くさせようと」「ぼくへのあてつけで」「ぼくまでくるしめるため」「ぼくを困らせようとして」「ぼくにも恥をかかせようとして」「ボクにいじわるしようと思って」「ぼくの気を引こうとして」と,ずいぶん多彩な訳が出そろいました.
さて,優秀作品です.今回もまた,判断はまさしく微妙なところでしたが,その当落の差が微妙であることを了解していただくようお願いした上で,優秀作として13作を選びました.
「ももさん」「La Petite Princesse さん」「砂漠の三毛猫さん」「モヨ彦さん」「oomotさん」「あぱさん」「vendredi 13 さん」「malena さん」「Torrents さん」「ナオさん」「TKさん」「Dali さん」「さとさん」
そして,パイロット賞(優れた語り手としての訳)ですが,優秀作品受賞の常連であり,今回も卓越したまとまりの良さが印象的だった「あぱさん」さんに,第10回に続いて2度目のパイロット賞を差し上げることにしましょう.
また,5千本ものバラの花が登場する章なのですから,今回は久しぶりにバラ賞(美しく華麗な訳)を出さなければなりませんね.王子さまのセリフに工夫をこらして流麗な「oomat さん」と,絵本風の訳文で独自の個性が感じられる「うさクマさん」に,バラ賞を差し上げましょう.
パイロット賞(優れた語り手としの訳)「あぱさん」
バラ賞(美しく華麗な訳)「oomat さん」「うさクマさん」
