選ばれし素敵な訳たち

「第15章」講評

第15章「王子さま,地理学者と出会う」です.投稿者数はやや少なくて実数35となっています.
この地理学者は, un vieux monsieur となっていますので,老人らしい言葉使いで訳した人が多かったです.「さもありなん」「山は変化せんからの」(パスティーシュさん)というようにちょっと古風な表現を使う地理学者,「だが儂は探検家ではないからの.この探検家という人種が,儂には絶対的に不足しておるのじゃ」(ナオさん)と威厳のありそうな地理学者,「私は,地理学者ですね」「そんなこと,知るはずないですね」「そりゃ,花は,はかないものだからですね」(ひまわりえさん)とすべてのセリフに「ですね」をつける地理学者,また「おや,まぁ! 探検家がいるよ!」「わしら地理学者は,花のことなんか書きとめんよ.うん」(あめさん)とやさしいおじいさん風の地理学者,...今回も多彩な訳文がそろいました.
 また,éphémère の訳語を,単純に「はかない」とせずに,いろいろ工夫をこらした人もありました.「花はもろいからじゃよ」「もろいって,どういう意味ですか」(Miho さん),「花は少ししかもたないじゃないか」「少ししかもたないってどういうことですか」(モヨ彦さん),「花々はつかの間の存在だからですよ」「つかの間の存在というのはどういう意味ですか」(Nさん),さらには「花は無常だからね」「ムジョウって,どういう意味なの」(とっとさん)というのもありました.
 さて,今回も接戦で選考がむずかしかったのですが,優秀作品として次の9篇を選びました.

 「La Petite Princesse さん」「chocolatine さん」「vendredi 13 さん」「砂漠の三毛猫さん」「ナオさん」「あぱさん」「にっこりさん」「あめさん」「はつよさん」

 そしてパイロット賞(優秀な語り手としての訳)ですが,この地理学者の章も前回の点灯夫と同じく童話調の訳が効果をあげています.童話的訳文で毎回細やかな工夫こらして投稿をつづけておられる「はつよさん」に,今回のパイロット賞をさしあげることにしましょう.
 また,今回は地理学者賞(学究的深さを感じさせる訳)を出さなくてなりませんね.「王子さま」を「小公子」とするなど,個性的で文学的な訳文を提出された「モヨ彦さん」に地理学者賞をさしあげましょう.
 パイロット賞 「はつよさん」
 地理学者賞  「モヨ彦さん」

このサイトで利用されている図版はすべてサン=テグジュペリ権利継承者から原版を提供され、複製されたものです。
複製は禁止されております。