選ばれし素敵な訳たち
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「第13章」講評
第13章「王子さま,ビジネスマンと出会う」です.長い章ですが,40件の応募がありました.
今回もビジネスマンのせりふをどういうスタイルで訳すのか,いろいろ工夫が見られました.ここでは英語が使われているようにサン=テグジュペリは明らかにアメリカのビジネスマンを揶揄していますが,これを関西の商売人に見立てた人があります.「ええぞ!」「おもろないんや」「ちゃうちゃう」「ものごっつい...」「あんたのもんやろ」(ぐんぐさん).これが作者の意図を反映したことになるのかどうか異論もあるかもしれませんが,しかし訳文としては全体の統一が取れていて,完成度の高いものに仕上がっています.今回はまず「ぐんぐさん」にパイロット賞(優れた語り手としての訳)をさしあげましょう.あと個性的な訳としては,ずいぶんとやさしいキャラクターの「mai さん」の例があります.「やっとわかったんだね」「それはね,裕福になるということなんだよ」.これとは反対にちょっと攻撃的なのが「ももさん」の場合です.「怠け者のヤツラはそれを眺めては,ぼんやり夢を見たりするな」.
また,これに対応する王子さまのせりふの方も多彩です.子供らしいせりふの場合「お金持ちになると,何かいいことあるの?」(うたまるさん)もあれば,ビジネスマンに対して冷たい態度を取っている例もあります.「お金持ちになったら,どうだっていうの?」(ROSEさん)
さて,優秀作品は次の9編を選びました.
「くりしぇさん」「みちよさん」「ラ・パンセさん」「にっこりさん」「Pikaさん」「ROSEさん」「hanaonara さん」「はつよさん」「ぐんぐさん」
ところで,一つ意表を突かれる訳文がありました.「mai さん」は,「王子さまは4番目に行った星の話をしてくれた」と始めて,あとはすべて「ぼくが次に行った星は.......」と,王子さまの一人称の語りにしています.作品の語りのシステムを変えてしまうこのやり方は,もう脚色というべきものです.たとえば舞台上演するときなどには,こういった大胆なやり方が有効でしょう.というわけで,「mai さん」にはヘビ賞(あっと驚くユニークな訳)を差し上げましょう.
パイロット賞「ぐんぐさん」
ヘビ賞「mai さん」
