選ばれし素敵な訳たち

「第9章」講評

第9章の標題は「旅立ち」です.「旅立ち」すなわち「別離」でもありますね.バラの花との別れの場面を,みなさんそれぞれに哀しくまた味わい深く訳しておられます.
今回はまず,王子さまが二度繰り返して言う Adieu の訳を見てみましょう.ごく素直に「さよなら」「さよなら」と訳した人が3人.「さようなら」「さようなら」が8人ありました.また,「お別れだね」「お別れだね」が3人.「お別れだよ」「お別れだよ」が3人です.他には「お別れです」「お別れです」,「もう会えないね」「もう会えないね」,「元気でね」「元気でね」が各1人です.
原文では Adieu の繰り返しですが,これを訳し分けた人も幾人か見られます.「お別れだね」「さようなら」が3人,「お別れだよ」「さようなら」が2人,「お別れだね」「お別れだ」が2人です.あとは,「お別れだね」「お別れなんだよ」,「もうこれっきりだね」「さようなら」,「もうこれでお別れだね,さようなら」「お別れしようね,さようなら」,「もう会えないね」「もう会えないよ」,「さよなら,もうあえない」「もうあえないね」,「これっきりだね」「最後のお別れだ」,「バイバイ」「さようなら」
もう会えないということを強調した人もありますし,またバイバイとあっさりした別れの挨拶を選んだ人もいますね.
33件の応募がありました.大学の入学試験では,合格ライン上に受験生が一番ひしめき合っていて,どこで線を引くかはほんとうにむずかしいのです.ぎりぎりで合格した人と,ぎりぎりで落ちた人の差は,実際にはないに等しいと言って良いでしょう.同じことが優秀作の選考についても言えます.このライン上にならぶ甲乙つけがたい作品を,今回も8つに絞り込みました.次の方々です.

「うたまるさん」「プティムートンさん」「vendredi 13 さん」「くりしぇさん」「砂漠の三毛猫さん」「にっこりさん」「こみちさん」「加奈さん」

パイロット賞(優れた語り手としての訳)は,毎回童話調の可愛い訳を送ってこられる「加奈さん」に差し上げましょう.今回は特に「バラとの会話が心にしみる」との意見が選考委員会で出されました.また,最後の終わり方も,味わい深い余韻を残したものですね.また優秀作以外から,たいへん工夫された意訳を試みておられる「cheers さん」にキツネ賞(工夫された味わいある訳)を差し上げます.

パイロット賞 「加奈さん」
キツネ賞   「cheer さん」

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