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「まえがき」講評
全部で(なんと!)69件の応募がありました。しかも力作ぞろいです。まずはこの69人でスタートしましょう。ぜひ完走してください。69件のうち、自動翻訳ソフトを使用した方を除いて、68名の翻訳をすべて掲載することにしました。
途中参加も大歓迎なので、まだまだ仲間が増えていくかもしれません。とはいえ、選考委員会としてはうれしい悲鳴をあげています。この中から、どうやって優秀作を選べばいいのでしょう。うーん、これはなかなかたいへんな仕事です。
まず、この「まえがき」を正しく理解するには、それが書かれた背景についての知識がぜひとも必要です。かんたんに説明しましょう。『星の王子さま』は、第二次大戦中の1942年、作者サン=テグジュペリの亡命先であるニューヨークで執筆されました。クリスマスに向けて、子ども向けの絵入り物語を書くよう求められたのですが、出版されたのは翌43年の4月でした。子どものために書かれた本なのに、おとなに献呈されていることの言い訳が、「まえがき」の内容です。レオン・ウェルトは、サン=テグジュペリより22歳年長のユダヤ人の友人でした。当時フランスに残っていた彼は、身の危険を感じる状況にありました。サン=テグジュペリは『星の王子さま』をウェルトに献じたあと、さらに1943年6月、ウェルトのために『ある人質への手紙』を書いています。ここで言う「人質」とは、ナチス・ドイツの占領下にある祖国フランスの人々であり、それは「4千万人の人質」なのです。サン=テグジュペリは、彼のような海外にあるフランス人にとっては、祖国で苦しんでいる人々を救うことこそが義務であると考えていました。この祖国に対する責任を果たすこと、さらには祖国のために死ぬこと、それが『星の王子さま』の隠された主題でもあります。子ども向けのメルヘン調の物語の中に、じつは担うにはたいへん重い主題が秘められているのです。
でも、解説はこれぐらいにして、寄せられた訳文に対する講評を始めましょう。多かった誤訳としては、次のようなものが目立ちました。(1)の部分です。
「この大人は、たとえ子どもの本であって、すべて分かってくれる人だからだ」
「この大人は飢えて、凍えているフランスに住んでいる」
正しい解釈としては(微妙な違いではありますが)、次のものです。
「この大人はなんでも分かるのです。子供のための本でさえも」(milouさん)
「このおとなの人はフランスに住んでいてお腹をすかせて寒い思いをしてるんだ」(葦野美保子さん)
そして、選考委員会としては、たいへん苦労した結果、74件から12件の優秀作を選びました。今回の優秀作は次の方々です。
「あめさん」「Nさん」「P-Princeさん」「葦野美保子さん」「くりしぇさん」
「milouさん」「こみちさん」「ぼんさん」「ラ・パンセさん」
「hanaonaraさん」「kikiさん」「azurさん」
また、選考委員会では、いくつかの個別の賞も用意しました。この賞については、優秀作以外から選ばれる場合もあります。今回は次の二つの賞を授与することにしましょう.
パイロット賞(優秀な語り手としての訳) 「あめさん」
王様賞(堂々とした風格ある訳) 「こみちさん」
