ことば
Q. 苗字と名前が外国だと逆になるのはなぜですか? (小4、男の子)
A. パックン先生:まず、考えられるのは、日本は元々、苗字というものはあまり使っていなかったらしいですね。苗字を付けたのは数百年前ぐらいらしいのですが、その人の住んでいる場所などから付いたんですね。例えば、田んぼの中に暮らしている人の苗字が「田中」だったり、長い浜の近くに住んでいて「長浜」となったと思うんです。これは日本の文法と同じことになりますよ。例えば、名前が「サトシ」なら、田中のサトシ君。長い浜のサトシ君とかね。「の」が入りますよね。これは先にくる名詞が後にくる名詞を修飾している場合は「の」でくっつけていますよね。今いる先生方で言えば、東京大学「の」林先生とかね。でも、英語の場合は逆なんですよ。林先生・オブ・トウキョウユニバーシティというんですよ。
おねえさん:後ろから読むんですね。
パックン先生:だから、近堂おねえさんなら、「近堂おねえさん・オブ・TBSラジオ」と言います。ですから、同じように長浜、田中という苗字が「サトシ」という名前について、長浜サトシ、田中サトシと、サトシ君を何処の人かということを説明しているんですね。欧米の苗字も同じようなことで住んでいる場所、従事している職業から来ている名前が多いです。私はパトリック・ハーランという名前ですが、ハーランというのは、「川の渡り」。橋ではないですよ。だから、ぼくは「パトリック・オブ・ザ・渡り」なんです。ハーラン(川の渡り)に住んでいるパトリックということです。
おねえさん:外国ですと、ファーストネーム、ファミリーネームとかと呼びますけど、ファミリーネームが苗字に当たるんですかね。
パックン先生:そうです。だから、多分、これが簡単に言うと英語と日本語の文法の違いから生じたんだと思います。
おねえさん:言葉のルールの違いで変わってくるということですね。
パックン先生:でも、これはぼくが今、考えた説なので間違っているかもしれません。
林先生:その通りだと思いますよ。でも、日本の場合、家の方を先に持ってくるわけですよね。そういう意味じゃ、個人、先ほどの名前で言うなら、「サトシ」を先に持ってくる方が、どちらを大切にしているのかを言うと、変ですが団体主義と個人主義を表しているのかもしれないですよね。
おねえさん:文化の違いもあるかもしれないんですよね。
林先生:でも、日本の場合、中国の形式をそのまま入れたんだと思いますけどね。

お笑いタレントのパトリック・ハーラン先生/東京大学大学院教授の林良博 先生

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