ことば
Q. 日本の多くの島は、「島」を「しま」と読むのに、北海道にある「島」は「とう」と読むのはなぜですか? (小6、男の子)
A. おねえさん:日本の島と言うのは「三宅島(みやけじま)」とかのことかな?
男の子:はい。
おねえさん:北海道にある島は「しま」と読まないということだよね。例えば、「奥尻島(おくしりとう)」や「利尻島(りしりとう)」とか。
男の子:はい。
中山先生:あのね、島(しま)と島(とう)の違いなんだけど、島(しま)というのは、昔、日本に文字が無いころからある言葉なんだよ。「シマ」という言葉だけあったの。
おねえさん:音としてだけ「シマ」という言葉があったということですか?
中山先生:そうそう。古い日本語といったらいいかな。その後、日本は漢字を輸入するのね。それで、「島」という漢字が輸入されてくるの。音読みと訓読みって習ったと思うけど、音読みで島(とう)と読むのね。音読みは元々、輸入元の中国でそういう音で読まれていたものなの。だから、島(しま)と島(とう)はそういう風に違うのね。そこで、私が思うに北海道というのは、時代が経って、だんだん開拓されてきた土地だから、日本語の名前が北海道の島に付けられるのは、かなり遅い時代だと思うの。だから、漢字を輸入して、「島(とう)」と言うのが普通に日本で使われるようになってから、北海道の島々に名前を付けたので、島(とう)と言われるようになったんじゃないかな。つまり、もっと北海道以外の日本列島の西側の地域は漢字の無い時代から島に名前を付けていたから、「島(しま)」という一番古い名前で付いているのかなと今、思いました。「島(しま)」と「島(とう)」はそういう違いがあるんですよ。
おねえさん:ハワイもハワイ島(とう)?
中山先生:それは、新しく付けた名前だからという気がするけどね。それと北海道の方は島の名前が日本語ではなくて、「アイヌ語」だったと思いますよ。昔、北海道は「アイヌ」という人が住んでいたんですよ。多分、アイヌ語では島(しま)とは言わないんですよ。それで、後から日本語で名前を付けていったので、新しい音読みの漢字でもって名前を付けていったので、多くのところで島(とう)となったんじゃないかな。

作家の中山千夏 先生

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