いきもの
Q. 山の天気はどうして変わりやすいのですか? (中3・おんな)
A.

山の天気ってホントに変わりやすいよね。ぼくは1998年にエベレストに行ったんですけど、そのときは頂上まであと200メートルのところまで行きました。山の天気は午前中はいいことが多いので、午前中に頂上につけるようにキャンプを夜中に出発したんです。星がとってもきれいで「これなら頂上まで行ける」と思っていました。

でもそれから30分で、急に星が見えなくなり、雪がパラパラ…とふりだして、すぐにものすごい吹雪になってしまって、ぼくらは、頂上に行けなくなってしまったんです。仲間がその様子を山の下のほうにあるベースキャンプからビデオカメラで記録していたんですけど、それを見たら、雲があったのはエベレストの頂上のまわりだけだったんですよ。

山というのはとても複雑な地形をしているので、そのまわりでいろいろな風の流れができています。風の流れが不安定になると、天気も不安定になるんですね。それと、山は高ければ高いほど天気が不安定ですし、場所にも関係があります。

たとえば、北極や南極など、最初から天気があまりよくないところに山がある場合もあるし、海の近くにある山というのも、空気中の水分が多いせいでとにかく天気が変わりやすいんです。たとえば北極にあるマッキンリーという高い山は、ベーリング海峡(かいきょう)の湿った空気が多いんです。

だから雪がドカンとふるんですね。逆に寒くても湿度があまりなければ天気は変わりづらいんですよ。それと、どうして山の天気は午前中のほうがいいのでしょうか。それは、午後になると気温が上がって水分が蒸発すると雲が出来やすくなるからなんです。だから、もしキミが山に行くときには、動き回るのは午前中にしたほうがいいと思いますよ。


アルピニスト・野口 健 先生

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