いきもの
Q. エルニーニョ現象は地球にどのような影響を与えているのですか? (小4・おんな)
A.

エルニーニョ現象というのを簡単に言うと、地球の真ん中ぐらい、つまり赤道のあたりの海の温度が高くなっちゃう現象なのね。赤道のまわりっていうのは地球の中で一番暑いところだから、海の水も普段から温度が高いんだけど、それがもっと異常に高くなってしまうの。ちなみに、逆にあまり温度が高くならない「ラニーニャ」という現象もあります。

でね、北極や南極の海の水はとても冷たいよね。そして、赤道付近の海の水は温かい。で、海には「海流(かいりゅう)」という水の流れがあって、海の水はいつも動いてるんです。それで、温かい海水と冷たい海水が、ぶつかったり混じり合ったりすることで、海は命を保ってるわけ。どういう命かというと、小さなプランクトンがいて、それを食べる小さなお魚がいて、そのお魚を食べる大きなお魚がいてね、そうやって海には生命が満ちあふれてくるわけね。

それが、エルニーニョで海の温度が異常に上がってしまうと、まず海の中に変化が起きちゃうの。

例えば、南米の太平洋側に「チリ」という国があります。その沖のほうには、赤道から来た温かい海流と、南極から来た冷たいフンボルト海流がぶつかるところがあるの。で、ぶつかりあうと、そこで小さいプランクトンがたくさん生まれて、それを食べる小さいお魚がたくさん育つのね。

その代表が「カタクチイワシ」っていうやつで・・・知ってるかな?イタリア料理には欠かせない「アンチョビ」なの。それで、エルニーニョ現象が起きると、アンチョビがとれなくなっちゃって、イタリア料理は困っちゃうんだよ。まぁこれはチリの沖で起きる、ひとつの例なんだけど、何よりも地球全体として大きな影響が出るのね。

というのは、海がどういう風に動いているかっていうのが、地球全体の気候に影響を与えるわけ。で、エルニーニョが激しい年は、洪水が起きたり、逆に全然雨が降らなくて干ばつが起きたり、台風が増えたり、竜巻が起きたり、地球全体の気候に大問題が起きることが多いっていうのが、エルニーニョの環境問題として一番大変な所なんです。

わかったかな?


科学ジャーナリスト・中村 浩美 先生

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