しょくぶつ
Q. なんでイチョウの葉っぱには、切れ目がある葉と切れ目のない葉があるのですか? (5歳・女の子)
A. 多田先生:イチョウの葉っぱって、団扇(うちわ)や扇子(せんす)みたいな形をしているんだけど、下の方までうんと裂けてビラビラと広がって、たくさん切れ目が入っているのと、真ん中だけに切れ目が入っている葉っぱや真ん中にさえ切れ目があんまり入っていない葉っぱがあるのね。すごく良い事に気が付いて、質問したね。イチョウは恐竜の時代から生きていた古い植物なんだけど、実は、化石の中からイチョウの仲間がいっぱい出てくるの。化石というのは、昔の葉っぱなんかが地面の中に埋もれて石の間に押し葉みたいになって出来るの。恐竜の化石と同じで、イチョウの化石の葉っぱが出てくるんだよ。そんな昔のイチョウの葉っぱの化石を見ると、今のイチョウよりもっと深くてたくさんの切れ込みがあるの。
おねえさん:いっぱい切れ目があるんですか?
多田先生:そうです。昔のイチョウの葉っぱはたくさん切れ込みがあって、時代が経って、今のイチョウになってくると、葉っぱの切れ込みが少しずつ無くなっている形に変わって来たらしいのね。それから、木は面白いことに、1つの木の中に古い性質の葉っぱが混じって出てくる事があるんだよ。イチョウの木なんかでも、根本のほうから斜めに生えている枝に切れ込んだ葉っぱが結構出てくるようなんだ。もちろん、上のほうの葉っぱにも時々、古いタイプの切れ込みが入った葉っぱが出てくる事があるんだけど、そういうのは植物の中でも結構あって、木が生え始めた時に昔の性質がちょっと残っている時があるんだよ。植物の中だけでなくて動物にもそういうことがあるの。イチョウの葉っぱに切れ込みがあるのとないのがあるのは、そういうことらしいと言われているみたいなんだよ。
おねえさん:それでは、恐竜が生きていた時代のイチョウの葉っぱの形を見たかもしれないということですね?
多田先生:そうですね。化石を見るとそんな感じらしいんですね。それと、イチョウの葉っぱを広げてみるとカモの足みたいに見えるでしょ? 2枚並べてみるとカモがペタペタ歩いているみたいでしょ。イチョウは中国では「鴨の脚(あし)」と書いて、イチョウと読むんですよ。

スタッフから:日本ではイチョウは漢字で「公孫樹」や「銀杏」と書きます。イチョウは元々は中国から入ってきたものらしく、多田先生がおっしゃるように中国ではイチョウは「鴨脚(ヤーチャオ)」と言い、日本語のイチョウはこの中国語に由来するそうですよ。ちなみに英語では「Ginkgo(ギンギョー)」です。

東京学芸大学講師:多田多恵子 先生

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