おんがく・え・ずこう
Q. 何百万円もするバイオリンがありますが、普通のバイオリンと何が違うんですか? (小3、男の子)
A. 青島先生:君のバイオリンはいくらぐらいなのかな?
男の子:何十万円だと思う。
青島先生:今は、一番安いバイオリンは1万円ぐらいからあって、中国製なの。だけど、そのバイオリンと何億円もするストラディバリウスを弾き比べるという演奏会があったの。でも、すごくうまい人が弾くとまったく同じように聞こえちゃうの。
おねえさん:あら、そうなんですか?
青島先生:本当のことを言うと、あまり値段の違いはないんです。でも、何億円のバイオリンというのはすごく古いの。300年ぐらい前に作られたものなの。そして、ものすごく有名なストラディバリさんとかアマティさんという人とかが作ったの。そして、それだけではなくて、昔から、代々偉いバイオリニストが使っているんですね。だから、その前の人が使っていると、ものすごく弾きやすくなって、楽器としてこなれてくるの。
つまり、家も新築の家に住んだときになんとなくしっくりこなかったり、ホテルに泊まったときにうれしかったりするかもしれないけど、自分の家みたいな感じはしないでしょ。だけど、ずっと住んでいると、ここのところにトイレがあるんだとか、ここにいくと静かだなということが分かってくるでしょ。それと同じように、上手な人が何代も使ったものというのは本当に弾きやすくなるんですよ。それと、使っている人の愛情がこもるの。だから、このバイオリンが好きだと抱いて寝ているような人が多いから、そのバイオリンはその愛情にこたえてくれるの。色もその使っていた人の汗とかがにじんで、どんどんいい色になっていくの。だから、長い間愛され続けたバイオリンというのは宝物なの。あなたが使っているそのバイオリンも弾くのをやめないで、ずっと引き続けていけば300万円ぐらいになると思います。ですから、ずっと使っていたほうがいいと思いますよ。あなたが中学生ぐらいなったときには、音色も色も違ってくると思いますよ。そして、あなたが好きな人にそのバイオリンをあげるのよ。高いのは骨董品というのだけど、良い人が作って、良い人が使ってきたから価値があって、高い値段になるの。

作曲家でピアニストの青島広志 先生

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