おんがく・え・ずこう
Q. ぼくは合唱団で歌っているのですが、コンサートマスターはどうしてバイオリンの人なんですか? (小3、男の子)
A. 青島先生:コンサートマスターは日本語では何というか分かりますか?
男の子:分かりません。
青島先生:あのね、コンサートは「演奏会」という意味なんだけど、マスターは「ご主人様」という意味なんですね。でも、ご主人様といっても、一番偉い人ということではなくて、たとえばバーティーなんかをやるときに取り仕切るご主人様といった意味なの。そして、どうして、バイオリンを弾く人なのかというと、オーケストラというのは元々、弦楽器のバイオリンを中心にして構成していたんです。その中で、バイオリンが一番高い音のところを弾いて、一番良いメロディのところを演奏するの。そこで、一番うまい人とまでは言わないけど、一番音楽を知っている人が前にくるわけです。昔は、指揮者がいなかったの。君の合唱団では、指揮者の人はいますか?
男の子:います。
青島先生:そうだよね。もし、指揮者がいなかったときはどうするかと言うと、コーラスの一番端にいる人が首を振ったり、息を吸ったりして、みんなでその人に合わせるんですよ。これはコンサートマスターとは言わないけど、コーラスマスターと言うの。コーラスマスターは普通、ソプラノの人がやります。やはり、一番高いところを歌っている人がやるんですよ。そのときに、できるだけ色んなことを知っているおねえさんみたいな人がやるといいんですよね。オーケストラの場合も、指揮者がいない場合は、バイオリンの一番うまい人、一番色んなことを知っている人が弓を大きく動かして指揮をするんです。たとえば、指揮者の人が舞台の上で、突然病気になって、倒れたりすることがあるんですよ。それから、客席の方に落っこちちゃう人もいるんです。以前、わたしがピアノを弾いていたときに落ちちゃった指揮者がいました。その時、突然指揮者がいなくなって、「大変だ」と思いました。ですが、その時、みんなコンサートマスターの弓を見て、合わせていたんです。そして、その落ちた指揮者がやっと上がってくるまで、コンサートマスターの人が指揮して、バイオリンは弾かなかったの。それと、コンサートマスターがなぜ真ん中にいるかというと、それはみんなから見える位置にいるためなの。それから、君たちが歌うとき、段の上で歌うことがないかな?
男の子:合唱団ではないです。
青島先生:そうか。あのね、30人ぐらいで歌うときは、後ろの人が見えなくなるので、だんだんと後ろの方に高い台をつくるの。その後ろの人からも見えるのが、第一バイオリンの一番前の人なんです。だから、コンサートマスターは、どこからでも見える位置にいるの。
おねえさん:いざというときに、コンサートマスターを振り返らなくちゃいけないという場所にいては困るわけですね。
青島先生:そうです。そのために、コンサートマスターは専用の楽屋をもらいます。それは、指揮者のことにもしものことがあったらどうするか、どういうふうに振るのか考えたり、集中するためなんです。

作曲家でピアニストの青島広志 先生

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