おんがく・え・ずこう
Q. ムンクの「叫び」の絵の人は何を見て叫んでいるのですか? (小4・男の子)
A. おねえさん:ムンクの叫びは見たことあるのかな?
男の子:テレビとかであります。
永先生:男性が両耳を押さえて叫んでいるように口を開けて道の上で立っている絵ね。何を叫んでいるかというのは画家が説明していないから、何を叫んでいるのかを君は考えたわけだね。でも、実はもう一つ別の見方があるんだ。あの絵で描かれている人は叫んでいないんじゃないか、あれは耳を押さえているんじゃないのか。叫びを聞いているんじゃないのか。当人が叫んでいるんじゃなくて、自然や世界の音が嫌で、それで耳をふさいでいるんじゃないのかという考えもあるの。それはムンクの「叫び」に限らないけど、世の中には色々な美術品があります。ピカソとかダリとかっていうのは、「何でこんな絵を描くんだろう?」と思う人がいっぱいいるの。「何なんだろう、これは? 何を叫んでいるんだろう?」と思わせるところが画家の力なのね。君が「何を見て叫んでいるか?」と思ったのは正しいのだけど、正しく何を叫んでいるのか。例えば、「助けて」と言っているのか、「おーい」と呼んでいるのか、それは観ている方が勝手に観て良いの。決めない方が良いの。色んな人が色んな風に感じ取るために作品ってあるの。だから、正しい考え方が無くても良いんです。君はどう感じた?
男の子:う〜ん…。
永先生:じゃあ、今度から色んな風に絵から感じ取るということを大事にしようよ。
男の子:はい。

スタッフから:永先生が放送中にお話された、「ダリ」というのは「サルバドール・ダリ」というスペインの画家です。「ピカソ」は「パブロ・ピカソ」といって、この人もスペインの画家です。彼らがどんな絵を描いているのか、調べてみるのも楽しいですね。そして、何よりテレビや本だけで観るのではなくなく、実際に美術館へ足を運んでみましょう。まずは、東京と京都にある国立の美術館がお薦めです。「叫び」は日本では観られませんが、ノルウェーのオスロ国立美術館などに所蔵されているんですよ。

放送タレント 永六輔 先生

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