にんげん・せいかつ
Q. どうして人は人を好きになるのですか? (中3、女の子)
A. おねえさん:あなたは今好きな人がいるのですか?
女の子:います。塾の先生です。
おねえさん:年上の人ですね。それでこの質問をされたわけですね?
女の子:はい。
長倉先生:わたしももちろん人を好きになることはありますが、写真家からすると恋をしている人は凄く綺麗です。
女の子:はい。
長倉先生:男の人の場合でもそうです。例えば植物があって花が咲くように、人を好きになるというのは、その人が一番輝いている時だと思います。また、これはわたしが若い時に「こんな生活嫌だ!1人でもいいから無人島で生活したい!人間なんかいなくなればいい!」と思いましたが、実際にこれをもし実行したら誰も周りにはいません。
おねえさん:そうですね。
長倉先生:綺麗な花を見て「綺麗だね!」、ご飯を食べて「おいしいね!」と言えないわけです。やはり好きな人がいると一緒に食べたり、綺麗な光景を見ても凄い感動します。だから神様が「1人で生きていくのは人間はつらいから好きになる人を与えてくれるのかなあ」と思います。
おねえさん:なるほど。
長倉先生:だから好きになるということは人生を美しく生きる、楽しく生きる、そんな方法なのだと思います。
三宮先生:あなたは塾の先生のどこが好きなのですか?
女の子:優しいところです。
おねえさん:へ〜。
三宮先生:好きになるというのは、とても素晴らしいことですし、きっとあなたは高校生になって劇的な変化を遂げていると思うので、今は精いっぱいこのことを大事にしていいと思います。ただ、これから気持ちがだんだん広がったり、変化していくということも面白いこととして、楽しんでいくといいのではないかと思います。
女の子:はい。
三宮先生:あなたは今、中学3年生ですから1つのプロセスとして、そういう風に思ってもいいですし、もちろん夢中になることは素晴らしいことです。人生には段階がありますから今が完成ではないということを頭に入れておくと、また違ってくるのではないかと思います。
藤田先生:わたしの経験を踏まえて話しますと、実はわたし、教え子と結婚しました。
おねえさん:え〜。大告白ですね。
藤田先生:やはり相手を選ぶ時に好きになるということは友達と違って、その人の中に自分にないもの、尊敬できるようなそういった部分を見つけた時だと思います。ところでわたしは29歳の時に11回お見合いをしました。
おねえさん:藤田先生、また凄い告白をしましたね。
藤田先生:植物の場合はですね一カ所には撒きませんよね?
女の子:はい。
藤田先生:何故だか考えたことはありますか?
女の子:ないです。
藤田先生:最初芽が出て小さい植物のうちは1粒だと虫などにやられてしまいますが、10粒くらい撒くと虫や風などの害が10分の1に減って、お互いに助けられるのです。植物の場合、その後1本にしていかなくてはいけません。なぜなら栄養や隣りとの間隔がないとしっかりと育たないからです。ですから人間も若い時は、1人でいる時と仲間でいる時の両方の時間があっていいと思います。そして一人前の人間に成長して下さい。

フォトジャーナリストの長倉洋海 先生/エッセイストの三宮麻美子 先生/恵泉女学園大学助教授の藤田智 先生

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