にんげん・せいかつ
Q. なんで政治家はヤジを飛ばすのですか? (中1、男の子)
A. おねえさん:どんなヤジを聞いたことがあるのかな?
男の子:(国会で)総理大臣が話しているときに周りで話を聞かないでブーブー言ってた。
おねえさん:そうだよね。お話は最後まで聞きなさいって言われるのにね。
池上先生:そうですね。政治家はもっと話を聞きなさいとか、道徳が大事ですと子供たちに言っておきながら、自分達でそれを守っていないよね。政治家の人たちというのは、みんなそれぞれ、世の中をこんな風にしたいんだという思いをもっているよね。そういう色々な思いを持っている人達が選挙で選ばれて、それぞれが似たような考えを持っている人達がグループをつくると、自分達とは違う考えを持つグループが自分達とは別のことを言っていると腹が立つことがあるみたいなんだよね。自分達はこう思っているのに、あっちのグループはこんなことを言っている、「許せない、何を言っているんだ」と思うと、ついつい相手が言っている時にヤジを飛ばしたり、あるいは自分達のグループを増やしたいから国民の人達に、例えば総理大臣とかが演説しているのを聞いて、それ、おかしいじゃないかとツッコミを入れて、そのツッコミがうまく決まると、ああ確かに変な演説をしているなと、聞いていた国民が思ってくれると自分達の仲間が増えるかなと思ったりすることがあると思うんだよね。でも、これは実はおかしなことで、みんな人の話を聞いて、自分とは違う考えのことを話していても、最後まで話を聞いて、あなたはこういう風に言ったけれど、実は違うんじゃないでしょうかときちんと反論すれば、国民はその両方を聞いていて、どっちが正しいかなって判断すれことが本当のやり方だと思いますよ。
小泉先生:日本の国会ではそういう風にヤジを飛ばしますけど、例えばイギリス、フランス、アメリカとかでは非常に素晴らしい雰囲気でやられているんですよね?
池上先生:それがですね、以外にそうでもないんですよ(笑)。イギリスでも党首討論と言って、日本はそれを真似したんですけど、保守党と労働党の党首がそれぞれ言い合います。その後ろに応援団がいて、それぞれ自分の党首を応援するんですけど、時々、相手の党首が言っていることにヤジを飛ばすことがあります。ただ、そのヤジがユーモアがあふれていて、聞いている側が思わず笑ってしまうようなヤジを飛ばすんですね。
おねえさん:気の利いたことを言うということですか?
池上先生:つまり、「バカヤロー」とか「何やってんだ」といったことはないですね。
小泉先生:揚げ足を取るようなことはないんですね。
池上先生:そうですね。ヤジを飛ばされた側が思わず詰まって、言われた側が笑ってしまうような気の利いたヤジを飛ばすことがありますね。
小泉先生:向こうのほうが大人なんじゃないですかね。
おねえさん:どんなヤジを飛ばすかも国民には見られていると考えなければいけないということですね。
池上先生:時々、国会ではヤジを飛ばしている人がいて、ヤジで有名になった国会議員が何人もいますよ。ヤジ将軍なんてあだ名が付いたりね。それが、かえって自分の評判を落とすこともあるんですよ。

フリージャーナリストの池上彰 先生

[戻る]