その他
Q. 郵政法案(ゆうせいほうあん)は参議院(さんぎいん)で否決(ひけつ)されたのに、なんで衆議院(しゅうぎいん)が解散(かいさん)されることになったのですか? (小5・男の子)
A. 池上先生:小泉総理大臣は郵政民営化(ゆうせいみんえいか)をじつげんしたいと思って、法律の「案」を出しました。そして衆議院ではみとめられたけど、そのあと参議院ではみとめられませんでした。このままでは法律は「案」のままで法律になりません。そこで参議院を解散することはできないから、衆議院を解散して「さぁ、この郵政民営化を国民はどう思っているのか聞いてみよう!」としているのです。
これには考え方として2つあります。
ひとつは衆議院の選挙(せんきょ)をした時に、「郵政民営化に賛成ですよ」という議員がたくさんうかったら「国民は郵政民営化に賛成しているじゃないか。だから郵政民営化に賛成してください」とあらためて参議院の人に働きかけて郵政民営化をじつげんしようとする考え方です。これが小泉さんの考え方です。
そしてもうひとつ。そもそも参議院に解散が無いのは、衆議院のやり方を参議院がチェックするという役わりをあたえられているからなんです。今回は、衆議院はさんせいしたけど、参議院はじっくり考えてみて郵政民営化は反対したほうがいいという人が多かった。参議院が「ダメですよ」と言ったのだから、あらためて考え直すべきだという考えです。

また、まったくちがうところでも問題はあります。それは「憲法には衆議院が賛成して参議院が反対した場合、あらためて衆議院で話し合って3分の2以上の賛成があれば、その法律の「案」が実現できる」と決まっているんです。ですから、小泉さんのやり方そのものが間違っているのでは? という意見もあるんです。ただ、衆議院では前回わずか5票差で賛成に決まっています。このまま参議院から衆議院に戻したのでは法律の案が成立しないと小泉さんは考えたんでしょうね。

今回の衆議院の選挙で郵政民営化を賛成する議員が多く当選すれば国民は郵政民営化を賛成しているということになるし、反対の人が多ければ国民も反対ということになるんです。

フリージャーナリスト:池上彰 先生

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