全国こども電話相談室[その他]

サンタさんと一緒にいるトナカイはなぜ飛べるの？（小2・女の子）

柳田：どんなものでもそうだけど、空を飛ぶには3つの方法があるんです。ひとつは、鳥とか飛行機のように羽の力で飛ぶ。そしてもうひとつは、ロケットみたいに何かをフシューとふき出して飛ぶ。そして最後は、風船みたいにふわふわ浮かぶ力で飛ぶ。この3つがふつうに空を飛ぶための力なんです。ところが、トナカイさんに羽がついているかというとついていませんよね。でも、ほかに「ジェットふんしゃ」や「ロケットふんしゃ」の様にバーンとふき出しているかと言うとそうでもない。ということは、サンタさんとかトナカイというのはすごく軽いんじゃないかな？　風船みたいに。だとしたら、空を飛んでいてもぜんぜん不思議じゃない。

こども：でも、トナカイたちは平気だけど、サンタさんとかは力持ちじゃないと重い荷物も持てないでしょ？

柳田：そう、そうですね。

こども：だから、ソリが重くなってしまうし、おもちゃもあるから落っこちたりしないのですか？

柳田：そうだね。そこまで気がついたのなら、空を飛ぶ第4の方法をお教えしましょう。第4の方法とは･･･ボールを思い浮かべてください。あなたがボールをビュッと投げるとボールが遠くに飛んでいくでしょう。あなたよりもっと力持ちの人がビュッとボールを投げたら、もっと遠くに飛ぶよね。
そこで、ボールがものすごいスピードで飛んでいったとします。やはりどっか遠くに落ちていこうとします。でも、地球って丸いでしょう？　だからすごいスピードで飛ぶとボールが地面に落っこちるカーブと地球の丸さが同じになってしまって、いつまでもグルグル飛びつづけることが出来るんです。その時は、たとえ重いボールでも空を飛び続けることが出来ます。地球に落っこちないで飛ぶにはマッハ23が出せればいいんだけど、サンタさんは、さっき僕の計算ではマッハ1万ぐらい出せていたから平気かもしれないね。

お姉さん：柳田先生、たとえば、サンタさんの他に上手く地球の周りを飛びつづけているものってありますか？

柳田：人工衛星もそうだし、スペースシャトルもそうだし、月もそうなんです。月も地球に向かって落っこちてこようとしているけど、やっぱりウンと離れた所をぐるぐる地球の周りを回ることによって、地球とぶつからずにすんでいるわけですね。

お姉さん：なるほどね。落合先生、今のは科学的なお話でしたけど･･･

落合：いや、もうメモをずっととってましたよ。すごい勉強になった。

こども：あのー。じゃあ、ぐるぐる回っているじゃないですか。トナカイ達はサンタさんをのせて、おもちゃをのせたままで、重たくて早くて目がキョロキョロあっち向いたり、こっち向いたりして、違う方向に行ったりしてまよったりしませんか？

柳田：それは、まよったりすることもあるかもしれないね。

お姉さん：迷ったりしても世界中回ってくれるんですよね。

柳田：たとえば、ぐるぐる回ってプレゼントを配ってくれているならば、地球はちょっとずつ自転しているから、みんなのところにまんべんなく動いてくれるかもしれないね。いやぁそれにしても、いろいろそういう風に考えるってすごく大切な事ですね。

こども：でも、トナカイとかは、たくさんいるけど、サンタさんはこの国にはひとり、この国にはひとりって、思うんだけれども･･･

お姉さん：なるほど。あなたはサンタさんは日本にひとり、アメリカにひとりみたいにそれぞれひとりずついると思っているんだね。

こども：うん。

お姉さん：落合先生、どうなんでしょうか。

落合：そうですね。私も知りたい所ではあるけど、もしかしたらサンタさんって日本担当ひとり、とかじゃなくて、日本担当11人という場合もあるんじゃないでしょうか。理科の場合はどうですか？

柳田：それは、ひとりではさっき言ったようにすごく大変なんだと思います。

お姉さん：河合先生、どうなんでしょうか。

河合先生：あなたはどうおもうのかな？

こども：･･･今聞いて、ちょっと思ったのが、東京にはこの人、北海道にはこの人って言うふうになっているのかもしれないと思った。

河合：なるほどね。

お姉さん：じゃあ、日本には47人担当が入るという事ですかね。

落合：だれかに優しくしましょうって考える人が大勢いるって素敵なことだと思いますよ。

お姉さん：そうですね。サンタさんはみんなに優しい人ですからね。

こども：あと、サンタさんは年をとるでしょ。それといっしょにトナカイたちも年をとるでしょ。そして亡くなってしまうでしょ。でも、サンタさんはすごくむずかしいお勉強をして、それで入っているわけじゃないですか。
サンタさんになる人は、この人はサンタさんになれるから入れてあげる、この人はというふうに決めているとおもうんですよ。･･･だんだん年をとって亡くなってしまった人がいた時、そこで一所懸命に勉強したんだけどサンタさんに受からなかったら、その子供たちは、サンタさんがいなくなってしまって、プレゼントをあげるところに来れなくなってしまうんじゃないのかなぁと思うんですけど。

お姉さん：そうか、年をとってサンタさんが亡くなってしまったら、どうしようということね。うーん、いかがでしょうか河合先生。

河合：あのね。たとえば、人間は年をとるといつの日か亡くなってしまうよね。でもね、たとえ亡くなったからといって、見えなくなってしまったからといって、僕と関係がなくなったということはないでしょう。たとえば、先生のお父さんは亡くなったの。でも僕の心の中にはずっと生きていてくれるの。それは年をとらないんだよね。そして僕が困った時とか苦しい時にはげましてくれるんです。サンタのおじさんもある意味で僕達のねんれいとか、あるいは僕達の命をこえた人かもしれないよね。そうするといつも僕達を見ていてくれるし、僕達のなかにある困ったこととか、辛い事をしっかり見ていて、あるいはまた、僕達がいいことをしたら、よくやったねとほめてくれるそんな人なんだよ。だから、サンタさんは亡くならないし、あなたのことを良く知っているし、いつもあなたが良い子であり続けることを願っている人だと思うよ。

こども：わかりました。

お姉さん：よかった。じゃあ、楽しいクリスマスを過ごしてね。

空想科学研究所　主任研究員：柳田理科雄　先生／作家・エッセイスト：落合　恵子　先生／神父様・サレジオ学院校長：河合　恒男　　先生

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