まず映画というのは写真なの。ビデオじゃないの。フィルムがあってそこに光が当たってフィルムが感光(かんこう)するんです。フューッと色が変わっていくんですね。むずかしく言うと赤・緑・青の3つの色がありますけど、その色が交じりあってにフィルムにきろくされます。1秒もかからないうちに色が変わるんですよ。
そして音は音だけでべつのきかいでとるんです。今は、音はテープレコーダーでとります。その時、絵と同時にとるようにします。そしてそれをテープに入れておきます。 それで、音のきろくと画面のきろくを合わせるために映画で、カチンとあわせる道具を見たことあるかな? カチンコというんですけど、あれは画面のきろくと音のきろくを合わせるためにあるの。だから音をどうじにとってそれでカチンと言う音で合わせて絵の中でもカチンというコマと合わせてとるんです。ちなみに、仕事で「間に合わないからいそいでくれ」というのをケツカチンコ、すなわち「ケツカッチン」というんですね。というわけで、音はだいたいどうじにとるんです。
ただ、アメリカ映画とかはアクションシーンとかでロケットが飛び出したり、ふだんの生活にないシーンがあるでしょう? 100回のビルから飛びおりたりとかね。「そんなことしたらぜったい死んじゃうじゃん」というのを平気でやるでしょう。ああいうところは、絵だけとっておいて後で音を入れていくこともあります。でも、日本の映画はほとんどどうじにとっております。
映画監督:井筒 和幸 先生
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