その他
Q. 山を登るときに、どうしたら疲れないで登れますか? (中1・おんな)
A.

キミは山に登ると疲れる?

こども:坂道を登るときに心臓がドキドキします。

息が苦しくなるの?それとも足がだるくなるの?

こども:息が苦しくなっちゃう。

そう、じゃあ、頂上に着いた時には座り込んじゃう感じなのかな?

こども:はい。

なるほど、分かった。とっても簡単な秘訣(ひけつ)があるの。キミはまだ若いから、筋肉が発達していて、瞬発力があって、体を動かすと、どんどん動けちゃうのね。
だけどその一方で、心臓や肺はまだ発達しきっていないから、そのために必要な酸素を筋肉にたっぷり送り出すための力を心臓や肺は十分には持ってないの。
だから、息を吸って一歩、はいて一歩、という感じで、呼吸の方に歩くのを合わせるといいの。つまり、歩くスピードに呼吸を合わせると、さっさと登れちゃうから、呼吸の方がついていけなくて苦しくなっちゃうの。
だから、普通の呼吸をしている状態に歩く足を合わせるの。例えば、ゆるやかな坂では吸ったときに一歩、はいた時に一歩という風に歩いて、きつい坂の時は一歩ごとにはいて吸ってとやるわけ。ただあくまでも呼吸を早くしないで、呼吸は普通にしている時と同じ感じでやるの。
そうすると、登るときのスピードは落ちちゃうんだけれど、上に着いてもゆっくり落ち着いて休めるし、景色も楽しめるし、疲れなくてすむの。あと、パーっと早く行って、10分もしないうちに休んで、またパーって行って休むっていう人がいますけど、そうじゃなくて、少なくとも30分は今言ったようなペースで歩いて、5分から10分ゆっくり休んで、また30分歩いて5分から10分ゆっくり休んで、という風に、歩く時間の方を長くするのね。
どうしてかって言うと、人間の体は動き出して10分ぐらいたつと、「死点(してん)を越える」と言って、自分の体のギアをチェンジするの。ということは、ギアチェンジする前に休んじゃうと、次の力が出てくる前に休んじゃうわけだから、いつまでたっても次のパワーが出てこないの。だから30分は必ず歩いて、それから休む様にするといいよ。

医師・登山家 今井 通子 先生

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