のりもの
Q. 大人はなんで車を運転できて、こどもは出来ないんですか? (小3、男の子)
A. 青島先生:あのね、私は車を運転できないんですよ。私が運転できない理由を言いますね。それは、運転するのが怖いんです。運転すると人が変わる人がいるんだけど、そうなったら嫌だなと思っているのが一つの理由です。
それから、事故を起こしてしまうことが怖いのね。だから、私は絶対に運転をしないでいようと思っていました。だけど、何かがあったときに、急いでどこかに行かなければならいないときに、運転できたら楽だなと思ったりはします。
だから、そういう意味では車は運転したかったんですけど、もう一つの理由としては、私は機械があまり好きではないんですね。携帯電話も持っていないぐらいなんです。つまり、わたしはピアノというのは、どうなっているか分かるから弾けるんですけれども、車というのは色々なボタンがあって、どこをどう押すとどうなるかが分からないし、壊れてしまったらどうしたら良いのかが分からない。だから、運転できない。つまり、免許を持っていないということなんです。
大橋先生:これはね、人それぞれの考え方ですから、青島先生みたいに運転をして、人を傷つけたりするのが嫌だからとの理由で、運転しない人がいるのは良いんですけど、これは少数だと思います。
まずね、ほとんどの人は18歳を過ぎて免許を取れるようになったら、車を運転したいなと思うわけです。で、その人の自由なんですけど、なんで、大人が車を運転できて、こどもが運転できないのかというと、青島先生がおっしゃったように車というのは色んなボタンがあり、ハンドル操作があり、ブレーキ操作があり、アクセルがあり、ガソリンの入れ方がある。たくさん覚えることがあるんですね。それだけではなくて、判断力、こういうところを左に曲がったら危ないとか、ものすごく厚い本を一冊読まなければならないような交通の規則、ルールがあるのね。
それを全部覚えるのには日本政府は18歳ぐらいになればできるとしているのね。
 ぼくが住んでいるカナダという国は16歳で免許が取れるんですよ。20歳の国もあるし、17歳の国もある。その国が決めるんです。大体18歳前後。高校卒業ぐらいの年齢になると、その一冊の本を読んで、交通のルールを理解できる、色々な操作ができる、例えば、橋の上やトンネルの中で車が止まってしまったら、今度、自分で直さなければならないんです。そうすると、ある程度は車を直せる技術を習得するために、18歳ぐらいの能力が必要だと思うね。
じゃあ、18歳になれば、すべてができるかというと、そうでもなくて、青島先生のように自分でやらないというのではなくて、車の免許の試験を受けさせてみたら、どうも能力がない。ブレーキを踏むところでアクセルを踏んでしまったとか。ハンドルを逆に切ってしまったとか、そういう人は試験に落ちてしまうんです。その試験を通らないと免許はくれないんです。ちょっと君は勘違いしているかもしれないけど、全ての大人が運転できるのではなくて、ある程度練習して、試験に通った人だけが、運転できる。
それに運転すべきではない性格の人も、運転できるということもあるので、なかなか難しいんですよ。わたしは50数年運転しているけど、実はこの5、6年は奥さんが運転していて、わたしは晴れた日の昼間しか運転しないんです。それは、僕の左目が「緑内障(りょくないしょう)」という病気で、見えない部分があるので、晴れているときは良いけど、夕方とか雨の日とかは左から飛び出してくるモノが見えないんです。でも、免許は持っているから運転は出来るんですね。
 で、ぼくは青島先生とは違う意味で、もし、この眼で運転して事故を起こして、お子さんとかを傷つけてしまったら、手遅れですよね。ですから、自主的にすごく晴れた日以外は運転しないようにしているの。
 だから、おそらく君も大きくなったら、免許を取ると思うけど、ハンドルを握るということは人の命を預かっているんだということを覚えておいてほしいの。確かに車を飛ばすのはそうかいな気分かもしれないけど、それ以上にみんなが責任を持たなければならないということを考えて、君が運転出来るのは後、10年後だけど、運転してください。

大橋巨泉先生/作曲家でピアニストの青島広志 先生

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